とらじろうの箱。

自分でプレイしたゲームや、読んだ漫画や本などについて書いています。なお、このブログではAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

【ひらめき☆マンガ教室】第2回課題・あなたらしい作品を! 完成稿編【第4期】

第2回課題・あなたらしい作品を!

前置きがあるので、読み飛ばしたい方は目次からお好きな場所にお飛びください。

はじめに

 ひらマン4期聴講生の「とらじろう」と申します。今回は第2回ネーム講評会を受けて製作された完成原稿へのコメントを書いていこうと思います。

 以下に、本エントリーの構造を示します。

  1. 課題文の要約
    どんな漫画をどういう風に書いてほしいと言われたのか、ぼくなりに一言か二言でまとめます。
  2. 何を意識して作品を読んだか
    2つ3つほどの要素を提示します。その点については意識的に読み取ろうとして読んだよ、という意思表示です。
  3. 作品を読んだ環境
    PCで読んだ、とか、スマホで読んだ、A4に印刷して読んだ、とかそういう奴です。ひらマンでは『誰に向けて描いたのか』が大切だと思うので漫画がどのような媒体に掲載されるのか(どのような環境で読まれたのか)は大きな要素であると考えてこの欄を設けます。
  4. 作品へのコメント
    エントリーの本丸ですね。長くなり過ぎないように心がけますがシンプルに作品へのコメントを描きます。ただし、少なくとも一つは「ここはこうした方が良いのでは?」的なことを書くつもりでいます。

*ひらマンの講評ルールに則り、今回まではネーム提出段階でレギュレーション違反の無かった作品に対してコメントを書いています。*

課題文の要約

 課題文にある通り『あなたの伝えたいかけがえのないものが、ちゃんと伝わるように描かれている漫画』を要求されていると考えました。

何を意識して作品を読んだか

 今回はシンプルで「読みやすさ」です。視点誘導の煩わしさや、文字量の加減など、いかにストレスなくマンガを読むことが出来たのかを基準にしています。

作品を読んだ環境

 ノートPCのchromeブラウザでスクロールを利用して読みました。

 以下、コメントへ。

作品へのコメント

『スラムの鞘』作者:シバ

 ぼくの好きなヤツでごく普通にマンガとして楽しんでしまった! 主要人物の態度が一貫しているので物語に取り残されることもありませんでしたし、絵が生き生きとしていて動きを感じるのはもちろん、「この世界のキャラクターたちの動き」が統一されていたので世界の存在感を見つけられました。

 2ページなど、人の多いページでも主人公と王様はきちんと浮いて見えるし、3・9・11ページなど勢いの欲しいところでは鋭く勢いが表現されているので気持ちよく読めました。また、全体的に過密なページが続く中で魅せるべき8ページは白抜きにされていて非常に分かりやすく印象的です。マンガのテーマとしても、ここで王様が水を差すのはとても良いと思いました。

 大きく気になったのは10ページの『”殺す”…⁉』→『はっ 遅っせーよ バーーーカ』『ガキだからって なめてっから 痛い目見んだよ!』→『…それに 殺されるん だったら…!』の台詞回しくらいでしょうか。話の展開として重要なのは『”殺す”…⁉』と最後の『…それに 殺されるん だったら…!』だと考えたのですが、そうだとすると間に入り込んでくる台詞が少し余計な感じを受けました。『…それに』で指示される部分が少し遠く感じてしまったということです。ぼくの感覚で言えば『はっ 遅っせーよ バ――――カ』は「バ――――カ」だけでもいいように思えました。

 小さく気になったのは最終ページのモノローグで、『この日以降ー… スラムの人々は 殺されることが なくなった…』は『この日以降ー… スラムの人々が 殺されることは なくなった…』の方が良いんじゃないかと感じました。

 基本的に本当に面白く読めてしまったので、読みにくさを感じる点や違和感のある点などを意識できておらず、指摘できそうなところも見逃しているかもしれません……。もし、そのような指摘を期待していたのであれば申し訳ないです。

school.genron.co.jp

『雨のあとは上天気』作者:こぐまあや

 首尾一貫して男の子がだらしなくて好きです。回想の入りも分かりやすく、場面転換で混乱することもなかったので、戻って読み直したり考えてから読み進めたりすることなく最後まで読み切れました!

 マンガの作りとして気になった点と、台詞回しとして気になった点が一つずつありました。まずはマンガの作りの方ですが、9~12ページの回想の描き方です。入りの方は今のままで間違いなく読むことが出来るのですが、終わりの方に少しだけ強引さを感じました。空ゴマが入っているので十分読めてしまう範疇にはありますが、入りの方では間白(コマとコマの間)をグラデーションにしていたのに終わりは黒ベタのままになっていたので、少し迷いを生んでしまったように思います。

 台詞の方は13ページ1コマ目の『終わってしまった 2人は他人になるの だろうか』です。『終わってしまった』というのは恋人関係のことだと思いますが、このページに入るまでは一貫して『別れる』あるいは『「解散する」』という言葉で表現していたので急に『終わってしまった』という言葉が来ると、一瞬ではありますが「あれ、なんのことだろう」と疑問を持ってしまいました。

 二つって書きましたがもう一つありました。ゴメンナサイ。

 最終ページのモノローグが少し長いように感じました。内容そのものに違和感はないのですが、15ページが大ゴマ3段+シンプルな台詞で構成されていたので、16ページを余韻(まとめ)だとすると、モノローグはもう少し短い方が良いように感じました。1枚絵ではなく二段構成などになっていれば今の文字量でも違和感がなかったような気もします(でも、今の一枚絵はめっちゃ良いので、ぼくの感覚だと文字量を減らした方がまとまるように思えました)。

school.genron.co.jp

『ラスト・サキュバス』作者:コバヤシ

 ネームの時点でそうだったので、もはや書くことがありません。

 以上!!

 ……割と本気でこれでも良いのですが、少し書くとすれば男キャラと女キャラで曲線のノリが異なっており、おっさんを描くのが本当につらかったんだなぁと思いました。あと、マフィアのボスがネームに比べて結構可愛くなってしまいましたね(線が女の子の曲線になっているからだろうか……)。

 最終ページの下段もパッと見て何が描いてあるのか分かるし、女の子はちゃんと可愛いし、ストーリーは解りやすいしで楽しかったです~。

 マンガそのものとは別の話で、トンボを消せていなかったりノンブルがずれていたりしますがそちらの方はもう対策を考えているようだったので次回に期待です!!

school.genron.co.jp

『となりの隣のおじいさん』作者:のり漫

 冒頭にはっきりと舞台説明が入っているので、騒音騒ぎのことやタイトルにある『となりの隣の』がどういう意味かすぐに分かってストレスなくマンガに入って行くことが出来ました。

 台詞が主体となって物語を進めているので比較的文字量の多いマンガだと思いますが、一行当たりの文字数・1コマあたりの文字数がそこまで多くないので十分ストレスの無い範囲に収まっているような印象を受けました。ストーリーとしても、投げっぱなしになっているものがなく、きちんと回収されているので読後にモヤモヤも残らずスッキリ読めました!

school.genron.co.jp

『牧場(まきば)のふりぃじあ』作者:pote(ぽて)

 家族についての話も、進路指導の話もより明確に描かれていたので格段に迷いが減って読めました。

 パーッと流し読んだときに女の子が何度も同じ角度でこちらを見つめていて少し怖かった点に違和感があるくらいで、「いい話描くなぁ……」としみじみ読み終えました。終盤の予言を聞いて覚悟を決めるまでの演出やその表情もちょうど良かったですし、面白かったです。

school.genron.co.jp

『梨沙と梨奈』作者:片橋真名

 何を描きたかったマンガなのか一層分かりやすくなっていて、この姉妹の葛藤は何だったのかを迷わず捉えることが出来ました。シンパシーゲームのエピソードが早い段階で挟まることや、姉妹の会話が中心となることで『自分も周りもなんか期待しちゃうけど双子って所詮別の人間だよね』というテーマは十分伝わるのではないかと感じます。

 最終ページで携帯をギミックにする際、講評でのコメントを受けて分かりやすくなるように文字を四角で囲ったのだと思うのですが、ここは少し混乱を生む演出になってしまっているように思います。というのも、四角囲いがここだけに使われているのならマンガの中でそういう記号として受け取れるのですが、前半では普通にモノローグとして四角囲いが使われているため、そちらに思考が寄せられてしまいました。つまり、それまでの経験から四角囲いを主人公のモノローグとして読もうとしてしまいました。丸角にするなど、それまで使っていなかった記号(あるいは演出)にしてあると混乱は減るのかなぁと思います。

 あと、11ページ上段では左手の小指に指輪があるように見えてしまうのですが、これは作画ミス……?

school.genron.co.jp

『死角い視覚表現』作者:くたくた

 伝えたい情報が整理されていて、どこで何を見せているのかが分かりやすくなっていたので「このマンガはどういう話だったのか」を把握できました。ピアスも冒頭で大胆に演出した後、折に触れてさりげなく読者の目に触れさせるような作りになっていたので、最後まで忘れることなく読み進められました。

 一方でギミックとしてのカメラが放置されたような印象はまだ残ってしまいました。6ページ中段で黒森が何を撮っているのかのか見せてほしいなぁと思いますし、最後のオチで「結局カメラの話は喧嘩のためだけに出てきたのか」と感じてしまいました。やりたいこととは異なってしまうかもしれませんが、自撮りなどでピアスと自己表現及び、写真の要素がまとめて回収されているような締めを読んでみたい! と欲張りたくなってしまいました……!

school.genron.co.jp

『探索者たち』作者:柴田舞美

 アイデアとその見せ方が面白く、その上で比喩やギミックのセンスも楽しかったので面白く読めました。背景の書き込みも十分足りていると思いますし、そのおかげでよりマンガを楽しむことが出来たと感じます。

 意図的なものなのか分かりませんが、小人たちや小人たちの持つ物がコマからはみ出している演出(3ページや4ページ)によって、彼らの持つ、異質でありつつも現実にいてほしい感じが良く出ているように思えて楽しめました。

 マンガとして気になったのは台詞が長くなった時に一行当たりの文字数が少し多くなりがちなのと、1ページの描き文字『ニオイとかあるし』が『生モノ型は、――』の前に読んでしまう誘導になっている点でした。そのほかは特に止まることもなく読めました~。

school.genron.co.jp

おわりに

 これまでのコメント記事と比べるとかなりあっさりした記事になっているのかもしれません。どの作品も格段に読みやすくなっていることと、ぼく自身が皆さんの完成稿に対してどういうスタンスを取ったらいいのかあまり確立できていないことがあって、基本的に短いコメントしか残すことが出来ませんでした。といっても、自分なりにはきちんと正対してコメントを書けていると思うので、その点は良かったでしょうか。

 繰り返しになりますが、どの作品もすごく読みやすくなっていたので、コメントの長い短いは単にぼくがたまたま気づくことがあったのか無いかというぐらいの差異でしかないと思います。大きな破綻を感じた作品は一つもありませんでした。

 ネームを読むのももちろん楽しいのですが、完成稿を読むのはネームとはまた全然違った楽しさがありますね。どれもこれも皆さんがネームを描き、完成稿を描いてくれるからこそ味わえるものであります。本当にありがとうございます。

 第3回課題の完成稿が出るまでにはスタンスを固めたいですが、ちょっと難しいかなぁ……。

 それでは、次の記事でまたお会いしましょう。

 興味のある方は以前の記事も是非お読みください。

toraziro-27.hatenablog.com