とらじろうの箱。

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【ひらめき☆マンガ教室】最終課題・第4回ゲンロンひらめき☆マンガ大賞 ネーム編【第4期】

最終課題・第4回 ゲンロンひらめき☆マンガ大賞

前置きがあるので、読み飛ばしたい方は目次からお好きな場所にお飛びください。

はじめに

 ひらマン4期聴講生のとらじろうと申します。

 いよいよ最終課題です。

 最終課題のお題はそのものズバリ『第4回 ゲンロンひらめき☆マンガ大賞』ということで、上限が64ページであることを除いて制限はありません。ただし、作品が掲載される媒体をはっきり意識して描き、想定した媒体名をアピール文に明記することが求められています。

 そこで今回は明記されている媒体の最新刊を可能な限り読んで見るところから始めました。その上で提出ネームを読み直し、その後の雑感としてコメントを残しています。かなり直接的な比較をしています。また、時間の限界から既刊は1冊しか読んでいないので場合によっては特殊事例に照らし合わせてしまっている場合もあるかもしれませんが、ご了承ください。

 読み方も統一はせず、主にスマートフォンで読まれるであろうネームはスマートフォンで。主に紙か電子で読まれるであろうネームはモニター(ブラウザ)で読みました。

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作品へのコメント

『青と念力』作者:桃井桃子

 コミック百合姫2021年8月号を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 物語が展開するまでの前半から中盤にかけてに顕著ですが、絵が小さいな、と思いました。あるいは吹き出しが小さいな、と。さらに別の捉え方をするのであれば、カメラが遠いのかもしれないと感じました。ネーム段階なので仕方のないことかもしれませんが、文字の行間がかなり狭いのと、フォントサイズが小さいことも影響があるかもしれません。

 百合姫に乗っているマンガと比べると女の子たちの感情描写が間接的かもしれない、と思いました。メインキャラクターが二人しかいないため、自由に説明ができないのもあると思いますが、匂わせの部分にしてももう少しはっきりと描いてあると良いのかもなぁと感じます。

 ネームアピールを読むに『天才が秀才を追い越す話』とのことですが、その構図を読み取るのが難しかったです。少なくともぼくは「自分より下だと思ってたやつに追い越されたくない人なんだな」というくらいの感覚で読んでいました。

 舞佳についての描写で『私は才能があるから 推薦入学できんだって』とありますが、この発言者は母親であり、しかもドヤ顔を見せていたので「ああ、この子はある程度優秀なんだな」という程度に受け取ってしまいました。特待生であったり、トップの成績を収めて推薦をもらっていたりしたら『秀才』さを想像できたのかなぁと思いました。

 誉についても、途中で彼女なりの努力をする描写があったため『天才』とは思わずに読んでいました。最後の方の描き方で「なんか才能があるんだろうな」とは思いました。とはいえ先生はあっさりと受け流してしまうし、舞佳のリアクションはどう読み取ることも可能な描き方だったので、ネームアピールにあったようなお話だと思うことなく読み終えてしまいました。おそらく誉と舞佳の間にある関係性が、本来読み手に感じて欲しいほどの格差を持たずに最後まで進んでしまっているのではないかと思います。

 一方で構図などで視覚的に二人の立場が逆転してしまう様子を描いているのはとても効果的だと感じました! ややもすると、ここがきちんと効果的な分、物語や台詞の格差が中途半端に見えてしまうのかもしれません……。

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『彼方からの眺め』作者:田山

 ぼくはとても好きです。

 あと、ぼくのフォローフォロワーの中にこのマンガを好きそうな人が居るのでシェアしたいなって思いました。

 他には誤字が気になってしまいました。

 pixivでこのマンガに出会っていたらハートをポチるな、とも思いました。何作投稿されているかにもよるのですが、もし田山さんのpixivにこのマンガが投稿してあれば「この人コミティアとか出てないかなぁ?」と調べてメモも取ると思います。

 Twitterやpixivで見かけた際には気にしないのですが、もしこれを同人誌即売会などで購入していたとすると、最初の設定(語り手の目線や語り口)と最後の設定がつながっていないので、もう少しどうにかなっていたらなぁと感じたかもしれません。あと、映画なのに『めくり切った』って変だなと思ったとかもしれません(9ページ)……(笑)

 マンガでリモコン(スキップUI)を表現すると『少し飛ばす』が「少し戻る」方向になるの面白いですね!

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『孤高のバイオリニスト』作者:つまようじ

 申し訳りませんが想定媒体が明記していないため、割愛させていただきます。

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『チャロを探して』作者:畑こんにゃく

 申し訳ありませんが、想定媒体の記載が曖昧であり『作品が掲載される媒体をはっきり意識して描き、想定した媒体名をアピール文に明記して』あるという判断を下せなかったため割愛させていただきます。

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ネーミングライツ』作者:なないつ

 アフタヌーン2021年8月号を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 ネームの段階なのであとから直すのかもしれませんが、文字のバランスがページによって大きく異なっているのが気になりました。一方で、改行が長すぎず文字量は少なく抑えられていたのですごく読みやすかったです。コマ割りもメリハリが効いていてリズムがあり、退屈しませんでした。

 ただ、物語内容については少しついていくのが難しい印象を持ちました。主人公の冷めた感じと苦悩の感じが上手くつながって読み取れなかったのと、冒頭のエピソードがどう駆動しているのかが分かりませんでした。パーフェクトシールドのくだりも上手く呑み込めなかったです……。

 コマ割りや吹き出しの使い方などの面では特に気になる部分はなかったのですが、物語内容の面で、読者がどういう目線に成れば良いのか、主人公は何故こういった態度を取るのかなどの要素が読み取りにくいように感じてしまいました。

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『バイト戦線異状あり!』作者:のり漫

 大変申し訳ありません。『本当にあった愉快な話』を入手できませんでした。なので今回のコメントは『コミックエッセイルーム』にある「連載作品一覧」を上から順に10作品を読んだ後に読み直して書いています。

 内容自体はとても面白く、楽しんで読み終えました! 冒頭での前振りもきちんと全体の構成に反映されているし、オチも平和的解決で安心しながら読めたように思います。

 時折、吹き出しを読む順番、コマを読む順番が分からなくなってしまいました(17ページ)。特に8→9ページの場面転換は初見時に混乱しました。

 『コミックエッセイルーム』を想定した場合で言えば、今回の話はもっと短くオチをつけて3話程度に分割することになるのかと思います。おそらくのり漫さんなら問題なくできるはずですが、そういった形でまとめ直したものも読んでみたいなと感じました。

 読んでいる途中までは内山さんのことを「正直この子はどうかな……」と感じていたのですが、本当に嫌いになる手前くらいで和解してくれたのでほっとしました。amazonで扇風機をポチりそうになる件のところも「あ、ここは思いとどまるんだ!」と面白くて意外性がありました。

 想定媒体を明記しているにもかかわらず、こちらがそれを踏まえることができずにコメントを書いてしまい申し訳ありません……。

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『唐揚げ食べたい。』作者:盛平

 盛平さんが日常的に使っているSNSやブログに掲載されるのかな、と思って読みました。とっても面白かったです! ネームアピールによると日記ということでしたが、ワイルドでありながらも魅力的な雰囲気が描いてあって、心温まる思いで読み終えました。出来事の流れも、それに伴う盛平さん(主人公)のリアクションもはっきりしていて、読んでいて迷う部分は少なかったように思います。

 日記なので本来であれば口を出す必要もないのですが、「もしかして、ご飯食べてるときも面白かったんじゃないだろうか?」という気がして、前半部分をもう少し読んでみたいなと思いました!

 盛平さんの描かかれるキャラクターはとても可愛らしいですし、ペン入れする際に自分役をどんなデザインにするのかが楽しみです。

 ここまで書いて、タイトル観たら『唐揚げ食べてんじゃん!』って思いました。

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『BLUE STAR』作者:コバヤシ

 週刊少年サンデー2021年33号を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 ミミのビジュアルをもう少し大きく、早い段階で見たいなと思いました。また、ネームだからだと思うのですが、上下の間白がサンデー想定にしては狭かったので、絵を入れる段階で印象が変わってしまうのではないかと感じました。

 序盤からコマ割りが細かく説明パートから始まっているので、少しテンポが悪いように思いました。見開き合計15コマで、その内、間や演出のコマが1コマしかないという構成が2,3ページにあるのは少しストレスを感じてしまいました。サンデーに掲載されているものでは『魔王城でおやすみ』が比較的コマ割りが細かく、文字量の多いマンガだと思うのですが、それでも2,3ページでの合計コマ数は10でした。どうしても説明量が多くなる将棋ものの『竜と苺』でも多い見開きで合計13コマでした。なので比較してしまうと、今回のネームのページ数で1ページあたりの平均コマ数が6を超えているのは、少し細かく割り過ぎているのかなぁという印象を持ちました。

 同時にここまでコマを割るのであれば、全体的にもっと間(演技)のコマが欲しいなぁとも感じます。サンデーは文字の改行が短く句読点も打つので吹き出しが多く(広く)なりガチだと思います。吹き出しばかりで絵が隠れがちだったので、絵を見る余裕がなくなり、文字を読んでいる感覚が強くなっていたように思います。

 全体的に台詞をもう少し減らすか短くする必要があるようにも感じました。サンデーは吹き出しに対して余白をきちんと取りがちなので、今回のネームのようなバランスで行くとペン入れした際に思ったような構図を描けなくなるコマがないかと、気になりました。

 あと、最後はベタだけどちゃんと台詞を聴きたかったです!!

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『風鈴の人』作者:こぐまあや

  グランドジャンプ2021No.15を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 グランドジャンプであればもう少し縦と横の間白の比率を大きくとっているように感じました。

 全体的にもう少し、あけすけな感じを出していても良いのかなぁという印象を受けています。例えば6ページの1,2コマ目で男の子がこの反応をするのであれば、7ページではしおりさんの口元をアップにしたコマを入れて、男の子の子供っぽい赤面リアクションを入れるなど、こう、なんて言えばいいのか難しいのですが、もう少し狙っていっても良いのかなと感じました。23ページの1コマ目もグランドジャンプに乗っているならもう少しカメラが寄っているように思います。

 男の子が性や男女の関係に振り回される姿もとても可愛らしいのですが、後半になって見せてくるしおりさんの倒錯した一面が非常に魅力的なので、もっとこの男の子としおりさんの絡みを見たいなぁと思いました。そういうのも含めて、後半の「しおりさん、もしや全部狙ってやってる……?ドキドキ」みたいな思いを味わいたかったので、前半部分でもっとあざとくというか、狙って読者の下心をくすぐっていても良いのかなと感じました!

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『舞台の中心は君だ!』作者:かずみ

 2021年7月16日現在、アプリジャンプ+の『最新の読み切りはこちら』にある10作品を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 台詞が長いな、と思いました。ジャンプ+に掲載されている読み切り作品と比べると、改行ももう少し短くする必要があるように思います。冒頭からこの文字量、このコマ割りだとスマートフォンの画面では圧迫感を抱きました。

 ジャンプ+に乗っているものは1,2ページで前振りしたのを3ページ目には一度ひっくり返して勢いをつけるものが多いですが、このネームでは最初から舞台説明で入り、そのまま話が続くためジャンプ+に乗っているような読み切りとは構成が違うのかなと感じます。『アオハル未練ギャル』では特に顕著ですが、ジャンプ+では冒頭で驚きを提供した後に説明パートを描くことが多いように思いました。

 コマ割りも、ジャンプ+に乗っている読み切りと比べると細かいように思いました。特に、最終ページで7コマに割っているのは細かすぎるように思います。『恋する話』で3コマ、『ふしぎの鳥のヤッキ』で1コマ、『フラグ中尉』で2コマ、『アオハル未練ギャル』で4コマ、『汚れた血』で3コマでした。

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『美容師探偵 ウソツキはナミカゼのハジマリ』作者:藤原白白

 EKiss2021年8月号を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 素敵な扉が冒頭に来ていてとても奇麗なのですが、2ページ目からいきなり読ませに来るのは少しストレスに感じてしまいました。特に2ページは世界観も分からない段階のめくりで見るので、扉が印象的に作られている分、唐突にぶつけられたような感覚になり、普通以上に圧迫感を持ったのだと思います。

 Kissは比較的文字量の多いマンガが乗っている雑誌だと思いますが、それを読ませるのに何かアクシデントが起きていたり、男女間の機微に合わせた内容になっていたりと工夫が多いように思います。今回のネームでは特に大きな出来事があったわけでもなく、男女のソレが始まるわけでもなく読ませる文字が多かったので、説明的に感じたり少し読むのがおっくうになってしまったりしました。

 美容ネタやミステリ要素はとても良く作られているし、面白く読めました。その一方で、欄外に『♡読むと恋をする♡』と印字されている媒体に乗せるにしては、少し恋愛要素がかけているのかなという気がしてしまいました。

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『メンタルミスステップ』作者:ahee

 週間ビッグコミックススピリッツ2021年32号および月刊!スピリッツ2021年8月号を読んだ後に読み直してコメントを書いています。

 前半部分(学校に行くまでのところ)が少し、分かりにくいなと感じました。ロン毛の男の子が幽霊(?)を受け入れる過程が省かれていて、2ページ目で驚いているのは何だったんだろうと思ってしまった部分が大きいのかなと思います。

 全体的に吹き出しの余白が大きくとってあり、改行も細かいのでパッと読みやすく、個人的には好印象だったのですが、スピリッツに掲載されている作品群と比べると少しやり過ぎなのかもしれないです。特に、吹き出しにおける上下の余白はもう少し削ってもいいように感じました。

 1ページのコマ割りはアバンとしてちょうどいいのかなと思っていたのですが、スピリッツと比べると1コマ目はいらないのかもしれないと感じました。全体的にコマ割りが細かすぎず、その上で吹き出しの乗らないコマもあるので読みやすかったです。例外的に、4ページは多少圧迫されたように感じました。スピリッツでもこのくらい細かいコマ割りはありますが、その際には2コマくらいは間のコマとして使われているのではないかと思います。終盤、物語の結末に向けてコマ割りが大きくなっていく流れはとても気持ちが良かったです。

 一方で物語内容としては、少し抽象的過ぎるのかなと感じました。ロン毛の子と格好いい男の子がメインで描かれていますが、もう少し外部の人間が関わってきて具体的に(生活がどう変わったとか、人間関係がどうだとか)物事が進んでいくと良いのかなという印象を持ちました。

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おわりに

  ついに最終課題ですね。泣いても笑ってもこれが最後です。

 今回は、どこに掲載されるのだろうか、というのを改めて意識して読んでみました。とはいえ、普段から購読して読んでいるわけではなく、今回の為に久方ぶりに購入した雑誌も多かったです。したがって間違っている部分も多いかもしれません。だとしても今回ここで書いたことについては、今のぼくが実際に考えて感じたことです。

 何か思う所があればお伝えください。

 いやー、それにしても実際にマンガを横に並べてみると非常に面白かったです。雑誌ごとの特徴や違いを改めて意識するいい機会になりました。これ以前に『ちゃお』と『りぼん』と『なかよし』でやったことがあったのですが、今回は少女マンガというレベルの枠組みも関係なく比べることができたので刺激的でした。『本当にあった愉快な話』を手に入れられなかったのは本当に申し訳ないデス……。くそう。

 ぼくがコメント記事を残すのもあと少しですが、お付き合いいただければ嬉しいです。

では、また次の記事でお会いしましょう~。