【放談】Kinoko is wakaran.【NO.8】
はじめに
きのこ、わからん。もうめっちゃわからん。
ここ何日か雨が続き、気温も上がっていてきのこ狩り日和だった。
エンヤコラサと自転車を漕ぎ、公園についた。
もうめっちゃきのこ出てた。たくさん写真を撮った。
あらかじめ下見していた切り株の近くはきのこ畑になっていて、テンション爆上げだ。いいヨー、いいヨー、とカメラマン気取りで写真を撮っていたら虫取り少年に怒られた。すごい勢いだった。嫌いな食べ物とかにはああいう感じで抵抗しているんだと思う。
『ダメー!!』と叫んでいた。
公園で叫ぶことができるのはおじさんと子供の特権だ。大いに叫ぶと良い。
でもぼくは結構傷ついた。『しゃしんとっちゃダメなんだよ!』と言われてどう反応すればいいのか分からず、その子のお父さんに余計な負担をかけてしまったことは今も反省している。なんで写真撮っちゃダメなんだろう……。『きのこふんじゃダメー!!』という怒りは何とか理解できたが、ぼくはきのこを踏んでなんかいなかった。きのこっていうのはな、きみの靴の下にあるソイツのことを言うんだぜ。
でもごめんな、少年。きっとぼくが怪しい人に見えたんだと思う。申し訳ない。
これでもきのこの研究してるんだよ……。
Kinoko is muri.
きのこの研究と一口に言っても、その方向性は様々である。
ぼくの場合は基本的にラボレベルで完結する。したがって、めったにフィールドワークはしない。とは言えども、他者に対して「きのこの研究してます」という手前、最低限のことは分からねばならぬだろうとは感じていた。この半年で大学外の人と話す機会が増え、その思いは強まっていた。
ここ最近、散歩をする際には意識してきのこを探すようにしている。
――のだが、きのこわからん。マジで。
植物や生き物を見つけた際に、それが何という名前のモノなのか決定する作業のことを同定と呼ぶ。モノによりけりなのだが、なかでもきのこは同定が難しい分野であると言われている。大元が菌であるために目視できるレベルの情報にはばらつきが大きい。同じ種類のきのこでも素人が見たら100人中100人が別の種類だと答えるような差異を持つことがざらにある世界なのだ。
きのこ狩りはプロでも間違うというが、そりゃそうだろうと思う。
やってみて分かった。無理ゲーだ。
というわけで、人類の叡智たるインターネットという世界に希望を託そうと思った。
つまり、下に写真を貼っているので、分かった人が居ればきのこの名前を教えて欲しい。一昔前のスラングを使えば、教えろください。とはいえ別に教えてくれなくてもいい。ただでさえ同定が難しいのに、写真だけでそれをやるというのはもう別のゲームだと言えるくらいに難易度が異なることくらいは分かっている。
それに、ぼくは今のところきのこを食べる気はないが、ネット情報を根拠にきのこを食べる人がいたとき、その責任は誰にも取れない。そもそも安全なきのこというモノが存在可能なのかどうかがぼくには分からないのであるが……。まあこれこそどうでもいいか。
Kinoko's pictures.
おわりに
きのこを見つけられるようになると、公園が急に違って見えてくるから不思議である。バーダー・マインホフ現象とか言う奴の一種だろうか。
特にきのこは色が多様なので、今まで見えていなかった色が景色の中に浮かび上がってくるようになる。すると一気に情報がメリハリを持ち始めるので、散歩が趣味の方にきのこ探しはお勧めだ。きのこは雨後にまとめて顔を出すので、雨の日やぬかるんだ日でも散歩をする楽しみができるのも、お得である。勇気がある場合には食料も手に入るし。ぼくはきのこをしり目にキイチゴを食べるけど。
何はともあれ、散歩はおすすめだ。少しずつ植物を覚えたり生き物を覚えたりすると、急に街中の生き物たちのことを意識できるようになる。
そういえばもうすぐビワが食べられる季節になる。
んじゃ、また次の記事で!