とらじろうの箱。

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【放談】シンエヴァについて。ネタバレ有。猫の話。【NO.5】

はじめに

 放談とのたまいながら、全然放談じゃない記事を連発している。というわけでいっちょ放談だ。放談だからと言って崩れた文体を取る必要はないが、自分の中で一番勢いの良い文体がこれなので、このままいくことにする。

 まず、さっき書いた記事に書いたことは嘘じゃない。あれは本当にああ考えているし、ああいう補助線を持つことで見えてくるものがあると思って、取り組んでいる。だが、今回の映画の中で一番印象に残っているシーンについて、あるいはエヴァシリーズの中で一番印象に残っているシーンについて書いてあるのかと言えば、嘘だ。

 というわけで、今回はぼくがシンエヴァで、ひいてはエヴァシリーズで一番気になっていることについて書く。なお、当たり前だが、放談なのでエビデンスなど気にしない。気にするのは、誹謗中傷にならないこと。いたずらに他者を傷つけないことだけである。

 うし。

 れっつごー。

庵野さんがちゃっかり隠してるやってないっぽいこと

 

 新劇場版エヴァを見て気になったのは、『破』においてダミープラグが使徒となったエヴァを破壊したシーンだった。あのシーン、TV版ではエントリープラグを口には咥えていない。この連想をした時、次は『序』でわざわざ綾波ベジタリアン設定を取り入れたことに思考が飛んだ。――ちょっと待って。正確にはベジタリアンと言っていなかった気もする。とにかく、シンジが作ってきたお弁当を食べるシーンで、レイは弁当を食べなかった。

 ……………………。

 どうしても気になったので見直してきた。そもそもお弁当は『序』ではなかった。『破』だった。ちなみに言うとamazonプライムビデオのタイムスタンプで【24:10】あたりにあるシーンである。きちんと見直したら『あの9割人造肉が』という台詞はあるが、よく見るとこやつら肉を食べていないではないか。

 トウジの食べた黄土色の何かが唐揚げの可能性はあるが、ご飯と同じお重に入っていたこととか考えるとどうにも違いそうだ。多分おいなりさん。トウジが肉の入っているという綾波の弁当を食べようとするも、結局邪魔されて食べていない。

 このシーンを見るに、よっぽどこだわりがあるらしい。庵野さんの偏食は割と有名な気もするが、こうやってわざわざ取り入れる程のネタか?と思うわけだ。

 つまり、何が言いたいかと言えば、庵野秀明エヴァシリーズでめっちゃ人間とか他者について描いているのに、ほかの生き物について描くことはうまいこと避けていたのである。というより、人間以外の他者に目が行かないよう、めっちゃ気を使っていたような気がする。かろうじて描けるのが、水槽に閉じ込められた奴らと畑の植物。そして写真の猫くらいである。EOEでなぜ実写の猫が挿入されるのか昔から疑問だったのだ。もしかしたら庵野さんが唯一心を許せる動物が猫だったのかもしれない。

 見直しついでに『破』を流し続けていたらミサトさんが腹を出して寝ているシーンになった。そういえば、ここでわざわざ腹の傷を見せたのに回収しないままになっているな。まあ、そんなことはどうでもいい。

 話を戻すと、使徒のコア(つまり子宮)を破壊する際にわざわざ近接武器を選択する事。その上まるで羊水かのようにわけわからん液体をブッシャーする事。毎回まじめに使徒の悲鳴をひびかせることなどから、エヴァにおける最大の他者は人間(アスカ、マリ)などではなく、動物や人間以外の生命なのではないかと思うのだ。

 そう思って使徒戦を見返してみると、シンジは見事に恐怖以外で使途を殺していないことに気づく。庵野秀明にとって、他者との接触を促す最大の感情は命の危険だったのではなかろうか。間違ってたらごめん。

 この観点から、ぼくはシンエヴァに感動した。

 シンエヴァでは、猫とは言え、キチンと人間以外の生き物が感じられた。もうめっちゃ心ときめいた。あの庵野秀明がついに生き物を描くのか!! とスタンドアップしたい勢いだった。そんな期待を込めて、委員長とのご飯シーンを楽しみにしていた。もうめっちゃガン見した。味噌汁。

 ―――――ない! 動物性たんぱく質が!

 魚かと思ったら、きのこじゃん! きのこはきのこでテンション上がったけど、がっかり感が勝った。ちなみに、何のきのこかは分からなかった。そしてきのこじゃなかったらごめん。

 よっぽど生き物を描きたくないんだなと思った。釣りのシーンでもアレはそういう意図でボウズにしたのだと思う。

 ぼくは少しがっかりしながらも、物語そのものには感動しながら続きを鑑賞した。

 カブ(植物)なら食べられるんだなと思った。

 正直、この観点から行くと、村を描けたとか共同体を描けたということより、庵野さんは生き物が怖くて『キミとボク』という社会ではなく、人間以外の生き物が抜け落ちた世界しか描けなかったのかなあと感じたのだ。畑仕事もあるし、ペンペンは生き物だが、アレは流石に架空の生き物と言っていいだろう。使徒と同じ枠だ。

 んで、なんやかんやあった結果、カジさんの話になった。

 種を保存しているっている例のあれだ。

 この時、ぼくはすごく驚いた。

 情報だけとはいえ、庵野が多くの生き物について具体的なことをかけたことに感動した。この変化こそ、EOEとシンエヴァにおける最も大きいものなのではないかと思う。とはいえ、具体的に生き物と人間が接触するシーンは描けていないのだけれど。

 そう思うと、エヴァにおいて他者に着目すること自体は絶対に必要だと思う。

 でも、その時の他者はきっと、庵野さんにとっては人間だけじゃなくて生き物全般なんだと思うのだ。その点について、庵野さんはすごく自覚的で、意図的にそちらから視線を外しながらも自身の作品に軌跡として残しているように感じている。

おわりに

 放談だと思って好き勝手書いていたら締め方を見失った。

 でも書きたいことは書けた気がする。放談だからこれでいいかもしれない。

 あるいは、放談を行うための修行が足りないだけか。

 気が向いたら放談してみるのを前向きに検討しよう。