とらじろうの箱。

自分でプレイしたゲームや、読んだ漫画や本などについて書いています。なお、このブログではAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

【ひらめき☆マンガ教室】第1回ネーム講評会 まとめ編【第4期】

第1回ネーム講評会を終えて

はじめに

 第1回ネーム講評会は現在、週刊スピリッツで『往生際の意味を知れ!』を連載している「米代恭」さんが行ってくれました。

 今回の記事では、米代さんが講義と講評会を通してお話ししてくれたマンガの描き方、捉え方のようなものに焦点を当てます。この記事の要点をまとめると以下のようになります。

  1. 自分の『好き』や『感情』が重なる誰かは必ずいる。絶対いる。
  2. 一番の核になる『好き』『伝えたいこと』『感情』をコレ! と決める。
  3. その核以外は『嘘』でもいい。
  4. とにかく核が伝わるにはどうするかを第一に。
  5. そして『読者』の視点を常に意識する。考えてもダメならすぐ相談!

 これらの他にも『AがBする話(=物語、企画)』が大事だ、という話や自分の中に構造≒話のつながりを取り込むためにはどういう手段があるかなど、多岐に渡る実用的な話が飛び交っていました。特に話の組み立て方や、物語の作り方に関する方法論はとても論理的でかなりの汎用性を持つ内容だったと思います。

 肌に合う合わないはあるかもしれませんが、多くの人が真似できるものなのではないでしょうか。(米代さんは圧倒的な物量をこなしていてかなり「ひらマン」感がありましたね……)

 というわけでほんのりボリュームのある記事になると思いますが、以下本題です。

第1回課題の内容にもあった『物語』について

  今回の講義でかなり話題に上ったのが『AがBする話』になっている/なっていないというものだと思います。

 まず第一に大切なのがここでいうAとは男の子や女の子といったものではありません。つまりAには「食べるのが苦手な男の子」とか「ラーメンが好きな女の子」とかいった、いわゆる「キャラクター」に類するものがもっぱら代入されるのだ、ということです。

 この「キャラクター」の感覚については「日常」や「生活」、「ディティール」といったキーワードで語られていましたが、ネーム『雪うさぎ、つくる』に対する講評において、まとまった話が展開されていました。ピンと来ていない場合にはここを聞き直すと何か掴めるものがあるのかもしれません。

 以上をまとめると物語とは『(キャラクター的な)AがBをする』ことである、と言えるでしょうか。

 ネーム『101みらい』への講評では『自己紹介と物語が矛盾している』ように思えたという話が出ましたが、上記のような整理をすると自己紹介と物語とが共存できるマンガを作れるんじゃないかと思います。

 また、ネーム『タダ券の完全勝利』に対する講評の中では『お話にすること』という話題が出ました。そこでは『主人公が何かをやることでこう変わりましたというゴール』を作ることが『お話』だとされ、その後のまとめとして『AがBした話』が持ち出されています。

 気になった方は聞き直してみるといいかもしれません。

自分が伝えたいことにおびえる必要はないという話

 ネーム『祖母の素顔』の講評において『自分が思ったことというのは絶対誰かしらに共感されるもの』である、という話が説明されました。この感覚は米代さんのように自己分析を基礎として、感情をベースにおいたマンガ作りをするなら特に信じた方が良い「柱」だと思います。

 そうはいってもなかなか難しいとは思いますが、今回課題ネームを提出して『共感しました!』とういう感想をもらった人も少なくないはずです。とにかく、創ったものを表に投げて誰かに見てもらうことが大切だと思います。少なくとも、表に投げ出されさえすれば、ぼくは必ず読んで反応をします! たぶん! ぼくがつぶれない限りで!

 また、通ったネームと通らなかったネームの違いは? という質問への答えとして『つながり』というキーワードを用いながら『(なぜつまらないと言われたのかが)わからない場合はひたすら担当さんに理由を訊くと良い』という話が出ました。つまり、大切なのは自分の感覚を不安に思うことではなく、自分の感覚を伝えられなかった場合にそれがどうして伝わらなかったのかを考える事なのです。

 自分が面白いと思ったことが相手に伝わらなかった時は、なぜ面白さが伝わらなかったのかを聞く。そのためには自分がどういう構造で面白いと思ったのかを分かっていないといけないはずです。分からないなら分からないで「これが面白くて、それはこういう理由だと思うんだけど」と誰かに相談をするのが良いという話も出ていましたね。

 ひらマンは、誰に気兼ねすることもなくマンガの話ができる貴重な場だと思います。もし身近に相談をする人が居ないのであればほかの受講生や聴講生に頼ってみるのもアリだし、もちろん主任講師やゲスト講師の方に相談してみることもアリです。

 使えるものはどんどん使う! の精神は大切です。

嘘をつかないナニかを決める

 この話に関しては、ココ! といった該当部分があるわけではありません。ですが、講評会の中では繰り返し『これが伝えたいのであればこうするべき』という話がされていました。そしてこの話には『そのためにはいくらでも嘘を使って良いのだ』という話も付随していたはずです。

 ここで言う『伝えたいこと』というのは米代さんの場合は『感情』になるんだと思います。講義の中でおっしゃられていた『感情だけは――』の『だけは』というのが重要なんだ、ということです。

 特待生の二人のネームを講評していた際に『上手く嘘をついた』という話が出ていたことが思い出されます。特に、魅せたいシーンから逆算してネームを組み立てていた『不思議としか言いようのない気分なんだ』はまさしくこういう嘘を使っているのではないでしょうか。

 また、講評会では『○○が引き立つキャラクター』という話も繰り返し登場しました。この根幹にあるのも『伝えたいことを伝えるためにはいくらでも嘘をつく』という前提があるはずです。個人的な話になりますが、ぼくは、この『嘘をつくこと』が非常に苦手です。そういう目線から見るとこれは本当に難しいと感じました。少なくともぼくの場合は、強く自覚的にならないとついつい「本当のこと/実際にあること、あったこと、現実」に引っ張られてしまう感覚があるのです。

 嘘をついていい、むしろ、コレと決めた『本当のこと』を魅せるためには積極的に嘘をついていくのだ! というくらいのスタンスで行くのも良いのかもしれないですね。

おわりに

 思ったよりも長くなりませんでした。うーむ。

 一応自分なりに今回の講義および講評会で出ていた大切な視点・論点は洗い出したつもりなのですが、取りのがしている部分があるのかもしれませんね。そこに気が付いたらまた記事にしようと思います。

 今回の講評会では、こぐまあやさんの『わたしとマンガ』、のり漫さんの『帰れないひとり』、くたくたさんの『どうせゾンビ』の三作品が選出されました。

 いまから完成稿が楽しみです。

 もちろん今回は選出されなかった他の方の完成稿がネームからどんな風に生まれ変わるのかも超楽しみです。めっちゃワクワクします。

 だってネームの段階ですでにみんな面白いし、マンガになってるんだもの。

 皆さんの完成稿を心からお待ちしております。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう。

school.genron.co.jp

school.genron.co.jp

school.genron.co.jp