とらじろうの箱。

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【ひらめき☆マンガ教室】第7回ネーム講評会 まとめ編【第4期】

第7回ネーム講評会を終えて

はじめに

 第7回ネーム講評会は、ネット上で幅広いマンガ活動を行っている横山了一さんがゲスト講師でした。今回は横山さんが講義と講評会を通してお話ししてくれた、ネット周りのマンガ雑感を中心に記事にしていきます。

 以下に要点をまとめました。

  1. 数年前とはネットマンガの見取り図が変わっている
  2. はじめの内はとにかくやってみるのが大事

 ネットマンガと言えばTwitterという時期がありましたが、その頃と比べると状況は大きく変わってきているようです。

ネットマンガの変化

 横山さんから見て、2年ほど前からネットのマンガ、特にTwitterマンガの雰囲気が変わってきているとのことでした。まず、Twitterそのものの活発さがピークを過ぎており、さらには特定のマンガがあふれており、従来ウケの良かったマンガも少し飽きられている感じがするという話です。

 したがって以前と比べるとTwitterからのフックアップを狙ったり、バズを狙ったりするのはハードルが高くなっているのではないかということでした。

 一方で100日後に死ぬワニは、Twitterマンガのテンプレから外れたものだったという話がありました。これを受けて主任講師のさやわかさんからは、「Twitterで目立つマンガが一昔前と変わったような印象もある」という意見も出てきました。

 確かに言えることとしては、アップロードされているマンガ全体の質が高くなっているというのがあるそうです。既にプロとして活躍している人たちの投稿が増えていることなども含め、ボトムアップが進んでいるようでした。結論としてはTwitterから商業媒体へ進んでいく道は厳しくなっているのではないかという話でした。

 PVによる公告収入モデルや、いわゆる企業案件と言われる広告マンガの収益に関することも話題に上っていました。コロナ禍で広告主の入れ替わりはあったものの、仕事の増減があったのは頭数か月の話で、収入という意味では以前と同じ水準に戻ってきたそうです。反面、マンガの内容については以前と異なる指示を受けることが増えたそうです。人ごみの描き方や、マスクの有無など現実状況を反映して作業が生じたとのことでした。広告市場は現実とのつながりが強いので、こういうこともあるようです。

 広告収入モデルに関しては、基本的に単価が下がっていて厳しい状況だそうです。場合によっては4割減という事態もあったとか。ところがこの状況は一概に語るのも難しく、どのサービスを使うかなどによって具体的な中身は異なるようです。

やれることはやってみる

 講義全体の流れでは、発表の場として主にTwitterを考えている正規受講生が多いようでした。その中で「これはTwitterには向かないかもね」という指摘があり、この延長線上にあるものとして「はじめの内はとにかくやってみるのが大事」という話が出てきました。

  一口にネットと言ってもマンガを発表する場はたくさんあります。有名どころでもpixiv、Twitterニコニコ静画など、ネットマンガに興味のある人なら一度は聞いたことがあるという規模の場が存在します。

 そういった状況の中でどの媒体がどういうマンガに向いていて、どういう媒体はマンガに向いていないのかなどの話が出てきました。

 講義の中に出てきた例を挙げると、Twitterはざっくりラブコメマンガに向いているだとか、TikTokはそもそもマンガを発表する場として向いていないという話がありました。他にもpixivには女性ユーザーが多く、ニコニコ静画は男性ユーザーが多いなどサービスごとに特徴は大きく異なるそうです。

 より具体的な話としては、子育てに関連するマンガをpixivにアップした場合とニコニコ静画にアップした場合とではランキング順位に大きな差があったそうです。前者では1位に入ったマンガが、後者では最高順位が二桁だったという話でした。

 上記のように場ごとの特性を考えてマンガを発表するのは大事なのですが、一方で基本的にはあらゆる場にマンガをアップロードしてみるのが良いとのことでした。ネットへのアップロードはコストが低いのに加え、評価が目に見えるのでウケが良ければ続行、悪ければ撤退をすればいいだけだ、と。その上で継続的に作品を発表し続けるのが大事だよねとのことでした。

おわりに

 ネット周辺にあるマンガの話をとても深く、具体的なお話が盛りだくさんな講義でした。自分の持ち球を意識しつつ、ネットという多様な場でどのように自分のマンガを広げていくか。日々を過ごす中でどのように時間を使っていくかなど、微に入り細を穿つ講義内容でした。

 当たり前なのですが、ネットだからといって好き勝手に書いたマンガをアップロードするだけでは人に見てもらえないのだ、ということが身に染みた講義だったように思います。

 自分が創作者になり、具体的に技術や作品がある以上やはり、ネットという場についてもその具体性に応じてとらえなければならないのだなぁと……。

 こうして連続して講義録を書いていると、どの講師の方も共通しておっしゃることが見えてきて面白いです。

 ふーむ、なるほど……。

 では、また次の記事でお会いしましょう。

みんな横山了一さんのマンガを読もう!!