【放談】展覧会『ZOKU』に行ってきた【NO.13】
はじめに
12月4日(土曜日)より開催している展覧会『ZOKU』に行ってきました。
株式会社ゲンロンによるアートスクール「ゲンロン新芸術校」第6期の卒業生である安藤卓児・大倉なな・田邊恵利子による展覧会です。キュレーションは同じく第6期卒業の鈴木祥平が手掛けています(敬称略)。
今回はそんな展覧会『ZOKU』の感想記事です。
居心地のいい展示空間
会場で配られていた冊子によると、
本展は、自然という普遍的なテーマを起点としつつ、人間の無意識や予測不能性といった遍在的な偶然と有機的に戯れる共同体「ZOKU」を体現するものとして創り出され
ているとのことで、いわゆるホワイト・キューブと呼ばれるような立方体を意識させる展示空間とは大きく異なった展示がなされていました。
作品は柱の一部を隠すように配置され、ビルの一室として角ばっていた空間も天井から吊り下げられた作品やライト、竹などによって緩やかな凹凸に作り替えられていました。
会場の奥にはウッドチップが敷き詰められており、踏みしめるたびにヒノキの香りがかおってきます。上を歩くとコンクリートとは異なるふんわりとした感触がかえってきて、とりわけあたたかさを感じる空間が出来上がっていました。その中心には『金色の指輪』(田邊恵理子)という作品が展示されていたのですが、「一之瀬高橋の春駒」の取材をもとに作られたということもあってか、布飾りを身にまとったソレには神聖な存在感がありました。
傍に展示されていた『肺色の水』(大倉なな)も、また、不思議な温かさを持っている作品でした。枯れ木や刈れ花を使いながら形作られた”肺”は死を感じさせつつも、大地に伸びる根を連想させる力強さを備えており、生の中に潜む死/死の中に潜む生をごく自然に受け取っていたように思います。『金色の指輪』に抱きかかえられつつ、ぼんやりと『肺色の水』眺めていると、思考の外部にある何かを強く刺激され、自分自身が溶けだしていくような感覚を覚えました。
加えて、『金色の指輪』と『肺色の水』の間には焼き物とヘルメットからなる『祀』(安藤卓児)が展示されており、緑や命を感じるそのすぐ隣には人工物さえ溶け込んでいるという、とても豊かな空間が成立していました。
各々の作家が個性を発揮させつつも、互いに共存し合い変化し、移り変わる作品として展示がコントロールされており、一つの作品を眺めているようで無意識のうちにそのほかの作品やそのほかの出来事について考えさせられている。
そんな展覧会でした~。
上で挙げた以外にも会場には大小さまざまな作品が展示されています。ここではとても書ききれませんが、どれも魅力的で力強さのある素敵な作品ばかりでした。ぼくが行った際には作家さんが在廊していてお話を聴けたのも非常に楽しかったです。
変化し、続いていく『ZOKU』
『ZOKU』の会期は前期(12月4日~12日)と後期(12月14日~20日)に分かれています。後期は作品以外の基本的な会場設営を残しつつ、サウンドを中心とした展覧会へと移行していくそうです。
『ZOKU』には常に変化がありました。作品を通して伝わる、匂い・風・触感などはその日ごと、その時間ごとに様々なフィードバックをもたらしてくれるのだと思います。
後期も行きたいな~。
おわりに
ってなわけで、展覧会『ZOKU』に行ってきた感想でした!
展覧会で感じたことを文字に起こすのは独特の難しさがありますね。
ウーム。
いずれにしても学びの多い展覧会でした。
まだまだ会期はありますので、皆さんも是非~!!
会期:2021年12月4日~12月12日(前期)、2021年12月14日~12月20日(後期)
会場:ゲンロン 五反田アトリエ
東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F