とらじろうの箱。

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【ひらめき☆マンガ教室】第9回課題・取材して描く【第4期】

ひらめき☆マンガ教室

 ひらめき☆マンガ教室(以下、ひらマン)は株式会社ゲンロンによるマンガスクールです。興味のある方は以前の記事や、下記のゲンロンによるHPを一読いただければと思います。

school.genron.co.jp

toraziro-27.hatenablog.com

第9回課題・取材して描く

 ひらマンでは月に一度「課題文」が提示されます。

 第7回講義の課題は『ネット経由で広がりそうな漫画』でした。第8回課題は「同人誌売り上げレース」で、特別課題に当たります。第9回の今回は『取材して描く』です。ひらマンの課題文は毎回ネット上で公開されているため誰でも閲覧可能です。マンガに興味のある方なら一読して損はないので是非ともご覧ください。

school.genron.co.jp

課題文要約

 マンガを描くにあたって一人で継続し続けるには限界がある。したがって、マンガを描き続けるうえで『取材』は必須スキルである。そこで「自分の描きたいもの」に合わせて取材をするか、「取材してから気になった部分」をマンガにする。その際には、一人以上に取材をする(文献検索オンリーではだめ)。取材で得られたものが主題でなくても構わない。その上で取材した情報に振り回されず、一方で情報に心を動かしてマンガを描いてほしい。ページ上限は32。

課題文を読んで考えたこと

  1. 人を相手に取材をするのは骨が折れそうだ。
  2. 中身に合わせて取材をするか、取材してから中身を決めるかには大きな違いがある。
  3. ページ上限が通常より高いが、取材をすると素材となる情報は増える。したがって、それに合わせたままページ数を増やせば情報に振り回される結果につながる可能性が高い。マンガ的に可能なページ数に合わせて情報をコントロールする方がシンプルだろう。

 ゲスト講師である山口つばささんは、現在『アフタヌーン』で『ブルーピリオド』という美大受験をするスポ根(?)マンガを連載しています。ブルーピリオドでは折に触れて、現実世界から美術作品が引用・利用されています。また、受験経験や予備校体験などは実際に取材を行ったうえで作成されているそうです。

 このように、取材あるいはコミュニケーションが大前提にあるマンガを描いている山口さんだからこその課題だと感じました。それにぼく個人などは「プロでもないのに……」などと一瞬で様々な理由をでっち上げ、取材を遠ざけることがめっちゃ得意です。カリキュラムの中で『着想』編『展開』編を経て『応用』に踏み込む際の第一課題として、素晴らしいタイミングです。何せ、この課題が提示された時点で『無理だあああぁあぁああ!』と叫んだ受講生が何人かいたくらいです。ぼくも実際に作品提出をする側であれば、死ぬほど疲弊したように思います。

 人に取材をするとなると、必ずしも欲しい情報が手に入るとは限りません。反対に言えば、意図せず手に入らないと思っていた情報を得ることもあるでしょう。しかし、どちらにせよ取材には相手がいて、コミュニケーションをとらなければなりません。「マンガは、コミュニケーションである」とは講義の中で何度も聞いているフレーズですが、これは正しく『応用』編なのか……。

最終的には

 とにもかくにも、取材をしないことには始まりません。期間も限られているので、今回は親しい友人に、同人誌制作や二次創作のことを聞くことになると思います。これらはネット上でも話題になりやすく、一定の読者を狙えるだろうという考えもありますので。

 運が良いことに何度かアプローチをかけられる相手なので、一度きりの取材で済ませる必要はなさそうです。とはいえ、時間が限られているので無限にトライはできませんが……。基本的には活動をしている中で嫌だったことや嬉しいことなど、感情につながっているエピソードを聞くのではないかと思います。そこで得た情報に対し、利き手である自分のツッコミを意識しながら、物語として楽しめそうなマンガにするのかもしれません。このアプローチで行くといわゆるエッセイ漫画のような形に落ち着きそうです。

おわりに

 ナンバリングとしては第9課題ですが、実質的には第8課題の『同人誌売り上げレース』と同時並行的に取り組むことになります。集団で創作して外に売り込んでいこうという課題と、今回の課題は切っても切り離せるものではないでしょう。そういった意味でも面白いタイミングで出してくるなぁと感じます。

 加えて、『ブルーピリオド』という取材なくしては成り立たないというマンガを、あのクオリティで描かれている山口さんにこんな課題を出されたら有無を言わずやるしかないだろうとも思います(笑)

 ブルーピリオドについて書いても良いのですが、本記事の趣旨とはずれてしまうのでまた別の機会に回します。もしまだ読んだことのない方がいたら是非お読みください! 面白いのはもちろんですが、この課題を踏まえて読み直してみるとマンガというモノの懐の深さにまた驚くこと請け合いです。月間連載なので今からでも追いつけるゾ!!

 では、また次の記事でお会いしましょう~。

↓山口つばささんがアフタヌーンで連載中のブルーピリオドです。2021/05/13時点で全9巻!!