とらじろうの箱。

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【ひらめき☆マンガ教室】雑記4-Bチーム同人誌『読めば、聴こえる。』-【第4期】

雑記4

はじめに

 4月26日~5月8日の期間、株式会社ゲンロンによるマンガスクール『ひらめき☆マンガ教室』(以下、ひらマン)による「同人誌売り上げレース」が開催されています。

 「同人誌売り上げレース」とは、ひらマン第4期の受講生たちがA・B・Cの3チームに分かれて同人誌を製作し、5月8日(土)に行われる特別授業が終わるまでの期間で、販売数を競い合うレースのことです。このレースはカリキュラムの一環として行われています。すなわち、レースの結果いかんによって各生徒に成績ポイントが加算される仕組みになっています。

 各チームの同人誌コンセプトは以下の通り。

  •  Aチーム『欲 その望みは破滅―。』
  •  Bチーム『読めば、聴こえる。』
  •  Cチーム『ふれたい。』

 本同人誌はチームごとに掲載するマンガの内容から、コラム・インタビューなどの企画まですべてを自由に決定し、作成しています。

Bチーム同人誌『読めば、聴こえる。』

 以下ではBチームによる『読めば、聴こえる。』の紹介をします!

 
 同人誌のタイトルでもあり、コンセプトでもあるのが『読めば、聴こえる。』です。皆さんはこのフレーズを聴いたとき、何を連想したでしょうか?
 ごく普通に考えれば、マンガそのものに音はありません。近年は電子マンガも一般的になり、動画マンガというジャンルも生まれてはいます。ですが、元をただせばマンガは紙にインクで絵や文字を描いていくものです。さらには雑誌文化と共に発展したものであり、消費者の手元には印刷物として届けられます。したがって、紙面上に物理的な音が存在しないのは、当たり前と言えば当たり前ですね。

 とはいえ、ぼくたちはマンガを読んでいて何かが『聴こえる』瞬間を知っています。例えば刀と刀がぶつかり合う金属音や、愛する二人が唇を重ねた瞬間の鼓動。あるいは舞い散る花びらと共に、キャラクターの心情が聴こえてくることもあるでしょう。
 このときぼくたちの心に聴こえてくるのは、物理的な音とは限りません。多くのマンガはフィクションです。先ほども書いたようにそもそも、そこに存在するのは紙とインクなのです。どれほどリアルな絵や物語が描かれていても、それは現実ではありません。それでもぼくたち読者がマンガに触れる時、そこには確かに音が存在します。
 『読めば、聴こえる。』を読み終わった時、読者の方は何かを聴いているはずです。
 個性豊かな12のマンガの中には、あなたを楽しませることのできる「音」がきっとあります。よろしければ、この本から聴こえて来る、あなただけの「音」をお楽しみください。

作者の視点から

 ひるがえって、このテーマを作者の視点から見つめ直すと、どう見えるのでしょうか? 突然ですが、雑誌に掲載されるマンガは、購入者に読んでもらえない可能性があります。

 例えば、『呪術廻戦』というマンガのことを好きな人が居るとしましょう。
 この人は毎週、特定の曜日になるとコンビニへ行きます。自動ドアをくぐり、ジャンプを手に取るとまずは巻末の目次を確認して掲載作品を確かめました。そして『Dr.STONE』、『ONE PIECE』、『僕のヒーローアカデミア』などのビッグタイトルに目を通し始めます。その後、『呪術廻戦』を読み終えるとTwitterへ感想を書き込み、満足したように雑誌を本棚へ返してコンビニを出て行ってしまいました。

 作者は、このような読者にも自分の作品を読んでもらわなければならないのです。まだ名前が売れていない場合には、殊更です。たとえ熱心なマンガ読者に出会えたとしても、上記のように作品をスルーされてしまうことは考えられるのです。


 このように捉えてみると、冒頭で投げかけた質問の答えはこうなります。

 

 『読めば、聴こえる。』を作者の視点から見つめ直せば、『読んでもらわなければ、聴こえない。』ということである。
 
 作者は常に読者のことを考えています。

 自分のマンガをどうやって読んでもらうか。
 自分のマンガをどうすれば読者に意図したように見せられるか。
 自分のマンガを読んでくれる読者とはどういう人なのか。

 見開き、大ゴマ、効果線など。作者は使える限りの技術を駆使して、読者にマンガを読んでもらえるよう工夫を凝らします。マンガは、作者だけがいても成り立ちません。作者がいて、作品があって、それを読んでくれる読者がいて初めて成立します。
 『読めば、聴こえる。』という同人誌は、このようなことを考えながら作られてきました。是非、皆さんもBチームの同人誌を手に取り、作者の声を聴いてみてください。

 そこでは、様々なコミュニケーションが試みられています。

おわりに

 Bチームの同人誌は、マンガという文化を多角的に捉えた上で制作されています。正規受講生によるマンガ作品の他に、聴講生のコラムが乗っているのも、相互言及的なレビューが乗っているのも、すべてマンガの周辺にあるコミュニケーションの一部であり、マンガという文化の一部であるからこそです。
 マンガに真剣な人々が、真摯にマンガと向き合った一冊です。
 是非、お買い求めください!

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