とらじろうの箱。

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【シラス】さやわかのカルチャーお白洲「おたよりコーナー」#3【放送レポート】

(本記事では基本的に敬称を省略させていただきます。)

はじめに

 鉄は熱いうちに打て、ということわざがある。科学の発展を願う身として、先人の知恵は大いに活用すべきだ。そう思い、筆者は2021年2月25日に行われた下記の放送について、レポートを残すことにした。

shirasu.io

さやわかのカルチャーお白洲とは

 『さやわかのカルチャーお白洲』は、トップページによると【さやわかが、多種多様なカルチャーに、広く深く、ひと言ふた言、ものもうす】放送番組である。具体的には「理論編」・「批評編」・「雑談編」の3篇を軸に、漫画・映画・ゲーム・アニメ・小説・ノウハウ・音楽など多種多様な文化について語っている。

 本レポートで触れる「おたよりコーナー」は、その中でも特殊な立ち位置にある。概要欄にさやわかとあなたが作る!本日はおたよりコーナーです。と書いてある通り、チャンネル主の『さやわか』と『視聴者』の交流を目的とした放送なのだ。

 第1回、第2回の盛り上がりを見れば、「名物コーナー」と呼びたい衝動に駆られてしまうコーナーだ。第3回に当たる今回もその期待を裏切ることはなく、非常に刺激的でエキセントリックな時間になった。初回放送から3か月が経ち、半年の保存期間がある放送アーカイブも充実し始めている。おたよりには既存の放送を踏まえたものも多く、コミュニティの芽吹きを感じてとても嬉しくなった。

 縦横無尽に文化について語ることができる。

 こんな空間を、筆者はずっと待ち望んでいた。

多種多様なおたより

 シラスのコメントはいわゆる「コテハン制」だ。したがっておたよりが読まれると、コメントを通してリアルタイムでやり取りが行われる。この体験もまた、非常に楽しいものである。

 以下に、どのようなおたよりがあったのかを記す。そうすれば、この放送がどれほど懐の深いものであるのか、理解していただけるのではないかと考えるからだ。

 とはいえ有料番組ということもあり、内容については、あくまで見出しの域を出ないことはご了承いただきたい。また、寄せられたおたよりは、とても長いことが多い。これには『何かについて語りたい』という人の熱量を感じ、非常に胸がアツくなった。

 

  1. SNSソルジャーを回避するにはどうすれば?
    催眠術に対する一般的な理解に現れる態度は、昨今における科学や医学などの”マウンティングパワー”を授けてくれる言葉に対する態度に近いのではないか。そしてその態度を作る主原因は、思考力を低下させる疲労であると考える。そこで、疲労を抱えた人がSNSソルジャーにならないためには何をすればいいのだろうか?
  2. 文章の講評依頼
    ひらめき☆マンガ教室第4回課題の感想文を講評してほしい。また、文章を書く際に誰を読者に設定するのかというのが難しい。「内容のあるべき形」に言及したいと考えたときの態度について。加えて、発信者になる時の孤独について。
  3. Netflixのアニメについて
    ネトフリにはお金があって、多くの作品が作られるようになった。一方で、あまり面白いアニメが作られているようには思えない。なぜか?
  4. 人生相談
    フリーランス(ライター)として働くとき、生存戦略をどう練れば良いか。
  5. 華文ミステリー界の感想および質問
    ポール・オースターの『ガラスの街』が扱う、「後期クイーン問題」について。すべてが本当かもしれないことと、すべてが嘘かもしれないことは区別されるべきか否か。区別する際にはどのような必然性・意義があるか。
  6. 「推し」という言葉について
    「推し」や「沼」という言葉になんとなく居心地の悪さを感じる。さやわかや視聴者はどう思うか?
  7. 「文字」について
    昨今話題の「変な看板高級食パン店」が近所にできた。2010年代からMVやyoutubeのサムネイルに文字が躍っているのが目立つ。日本では文字に人々を惹きつける力があり、先述のパン屋もこの流れにあるように思う。さやわかは、日本人と文字の関係についてどう考えているか?
  8. 水上悟志』あるいは『緑のルーペ』について
    水上悟志緑のルーペの読書会を行った。その際二人のマンガが持っている態度について話が及んだ。ゼロ年代について言及が増え、最終的には『ゼロ年代に虚無を迎えた男性の振る舞い方、あるいは不可能な未来』へと話がスライドしていった。さやわかや、視聴者は両者についてどのような意見があるか?

 放送は5時間40分に及んだ。時間いっぱい、このような硬軟織り交ぜたお便りに対し、あれやこれやと立体的な話が繰り広げられるのである。時には脱線しながらも最終的には何かを語ることができている。この不思議な感覚は、シラスが持つ、コテハン制による双方向のやりとりがあってこそだ。極めて刺激的である。

おわりに

 当然ながら、おたよりコーナーの醍醐味はおたよりに対する、さやわか及び視聴者の反応である。この臨場感はいわゆる「リアタイ勢」特有のものなのかもしれない。とはいえ、放送時の熱意はアーカイブになったとしても、決して損なわれることはないはずだ。

 素晴らしいことに、シラスでは動画ごとの個別購入が可能である。筆者個人としては月額会員が圧倒的にお得だと思う。とはいえ、定額課金に抵抗がある気持ちもよく分かる。そういう方には是非、『おたよりコーナー』だけでも一度ご覧いただきたい。ご覧いただければ、『さやわかのカルチャーお白洲』で何をやろうとしているのか、あるいは何が起きているのか、その一端を必ず感じられるはずである。