とらじろうの箱。

自分でプレイしたゲームや、読んだ漫画や本などについて書いています。なお、このブログではAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

【ひらめき☆マンガ教室】第4回課題・キャラクターを作る ネーム編【第4期】

第4回課題・キャラクターを作る

前置きがあるので、読み飛ばしたい方は目次からお好きな場所にお飛びください。

はじめに

 ひらマン4期聴講生の「とらじろう」と申します。今回は第4回課題に対するネーム提出作品へのコメントを書いていきます。

 以下に示すのが本エントリーの構造です。

  1. 課題文の要約
    どんなマンガをどういう風に書いてほしいと言われたのか、ぼくなりに一言か二言でまとめます。
  2. 何を意識して作品を読んだか
    2つか3つほどの要素を提示します。その点については意識的に読み取ろうとして読んだよ、という意思表示です。
  3. 作品を読んだ環境
    PCで読んだ、とか、スマホで読んだ、B5に印刷して読んだ、とかそういう奴です。ひらマンでは表現の前提として『誰に向けて描いたのか』を重視しているように思えます。したがって、マンガがどのような媒体に掲載されるのか(どのような環境で読まれたのか)は大きな要素であると考えてこの欄を設けました。
  4. 作品へのコメント
    エントリーの本丸です。作品へのコメントを描きます。ただし、少なくとも一つは「ここはこうした方が良いのでは?」的なことを書くつもりです。

*随時更新する方法をとっています。更新回数はタイトルで示し、ゲンロンから定められた期間内に掲載されたすべての作品にコメントを終えた段階で本エントリーの大きな更新は終了とします。*

課題文の要約

 魅力的なキャラクター、つまり、読者が「以外な一面を見た」と感じるようなギャップのあるキャラクターが出てくるマンガを描いてほしい。

何を意識して作品を読んだか

 1点目は「今までの講義で触れてきたことが実践されているか」です。第4回にもなり、今までの講義を通して教えられたことがだんだん抜け落ちてくる時期だと思います。本来なら自分自身でチェックできればいいのですが、実作をしながらそれを行うのは非常に難しいと思われます。そこで聴講生としてこういう視点を供給してみようという観点から、この項目を設けました。

 2点目は「キャラクターで二次創作的想像力が働くか」です。曖昧な書き方になってしまいますが、要するに、登場したキャラクターのその後を見たい、知りたいと思えたかどうかということです。これはぼく自身の価値観として、魅力的な人物、キャラクターと言われた時に、その前後が気になるか創造したくなるかという点が重要であると考えたからです。

作品を読んだ環境

 スマートフォンを利用して読みました。

 導入が長くなりましたが、以下、コメントへ。

作品へのコメント

『超・月下美人』作者:シバ

 読者に楽しんでもらおうという意識だと思うのですが、キャラクターたちがユーモアたっぷりに動いていて非常に目の楽しいマンガでした。また、16ページというボリュームの中でメインキャラクターが二人、サブキャラクターが一人というバランスは情報量が多すぎも少なすぎもせずとても読みやすかったです!

 一方でコマ割りや絵の分かりやすさが目立った半面、台詞や展開において少し奇妙に感じる部分もありました。

 「マンガは読まれなければ意味がない」ということで、今までの講義でもお話のあった部分が冒頭ですが、今回のネームでは1ページから仕草や台詞に違和感がありました。仕草ついてはほかの部分で十分すぎるほどに描けているからこそなのですが、3コマ目の演技が多少、過剰なのかなぁという印象を受けます。また、より大きな違和感を持ってしまうのは、ヒラ研究員ぽい男性が、研究室のボスである所長を『あの人』と呼んでいる点です。2ページまで読んで、「ああ、これはめくりの為にこうしたのかな?」と作者の意図が透けて見えてしまうような感じがありました。

 ほかにちょっとした引っ掛かりを感じたのは所長の描かれ方でした。

 ネームアピールやコマの使い方を見ると、所長は読者にとって一番魅力的に映ってほしいキャラクターだと思います。ですが、ネームを読んでいると演出に対して彼女に感じた意外性が少し小さいように感じました。

 というのも、見せ場に到達する前に所長の意外性がさりげなく説明されているように見えてしまうからだと思います。例えば全体を通して怒りの表現が過剰気味でギャグに片足を突っ込んでいるように思える点や、5ページ右下のコマ・8ページの3コマ目などで既にクールや仏頂面とは異なった一面が描かれていると感じました。そのために本来最も落差を感じて欲しかったであろう11ページからの展開に読者として意外性をあまり感じられませんでした。むしろ『一仕事終えて――』の台詞などは、どうして急にキャラクター設定を説明し始めたんだろうと、少し物語から距離を置いて読めてしまった節もありました。

 物語の描き方や、コマの使い方、魅せたいシーンにおけるキャラの捉え方などがとても手際よく行われているため、ちょっとした違和感が非常に目立ってしまっているような印象を受けてしまいました。見せるべきシーンで見せるべき絵を入れることも出来ているし、そこへコマ割りのリズムを合わせることも出来ている……。なおかつ、読者を退屈させないようにマンガを作ろうという意思を感じて、とても心地の良く安心感のあるマンガでした!

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『負け戦』作者:ahee

 全4ページとしては登場人物の多いマンガではありましたが、ラフな線で描かれたキャラクターがわちゃわちゃしているのはそれだけで楽しさがあります。会話劇主体で文字量は多いものの、その分絵の情報量が抑えられていて画面としてのストレスが少なく読みやすかったです。

 この文字量とページ数の上で会話劇を見せるとなると、早い段階でより明確にキャラクターを認識させる必要があるのではないかと感じました。今回のネームだと1ページでどの子が誰なのか把握するのが難しく、読み味を損ねてしまっているような印象を受けてしまいます。

 例えば1ページには川口と谷山が出てきますが『定時で上がった川口!』をどう受け取ったら良いのか、『川口からです』とzipファイルを差し出しているのが本人なのか、第三者なのか、少し分かりにくかったかもしれません。加えて、ページ数に余裕があることもあり冒頭に舞台説明のコマを入れるなど、情報を分散することも出来たのかなぁとも感じます。会話劇が始まってからのテンポはとても心地よかったので、この詰め方で良いように思えました!

 また、冒頭においてマジック・ザ・ギャザリングのロゴを真似た『MTG』というミーティングの略称が出てきますが、広い読者を想定するとルビをつけても良いのかなぁと感じます。これは個人的な好みの話ではありますが、ロゴを真似ているのは大げさな感じがしてこの後のわちゃわちゃした雰囲気とマッチしているように思えるのでアリなのではないでしょうか。

 楽しくリズミカルに会話が繰り広げられるので、一度読み始めたら止まることなく読めました。他に言うことがあるとすれば、3ページから使い始めた吹き出しの隅にキャラの顔を描き込むような用法は、もう少し全体的に使っていても良いのかなぁと感じます。とくに初めのうちはキャラと口調を一致させるのが難しいので、読者の混乱を防ぐという意味でもあると良いのかなぁと思いました。

 今回の課題であるギャップという点とは異なりますが、その大元である『魅力的なキャラクター』を見せる、という部分では十分にできているのかなあと感じました! 今までの提出物と違ったテイストでしたが、とってもおもしろかったです~。

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『趣味とおじさん』作者:瀬戸チヒロ

 おじさんメインのマンガでこんなに「かわいい」を感じるとは思っていなかったので非常に楽しく読むことが出来ました! また、ネームの中で読者自身が意外性を感じられるように演出やリアクションが配置されており、とてもスムーズにキャラクターの意外性(魅力)を感じられました。

 基本的に気になるところは少なかったのですが、ネームアピールに記載してあった趣味の取り扱いについては少しネガティブ側に寄り過ぎなのかなぁという印象があります。さじ加減の問題になってしまいますが、例えば2ページの『コラッ見ちゃだめ…』という反応ですが、インスタ等が流行っている今、ここまで露骨な反応をする人が居るのかなぁと違和感がありました。

 また、6ページ下段~7ページの流れはすこし強引なのかなぁという感じがありました。台詞にチグハグ感があるのと(ここまでの部長にそこまで怖い感じが出ていなかったので、『獲物?!』というリアクションは大げさに感じました)、上司から頼まれていて、――それも自分が公にしにくいと感じていることを相談してくれているのが分かっていて――いきなり別行動は少しかわいそうだなぁと感じてしまいます。

 物語の始め方に関してですが、1ページ目にしては少し文字量が多いのかなぁという雰囲気を感じました。第3回講義でアバンの話がありましたが、2ページの絵はとても印象的で目を引くので、調整が効くのであればここを冒頭にもってきても良いのかなぁと思います。一方で舞台を示すコマが適宜挿入されていたり、かなり情報の見せ方に気を使っていて、しかもそれが良い方向に働いているように感じます。

 全体として非常にまとまりがあり、大きな破綻がない中でドラマチックとはいかないまでも波のある展開でとても楽しくメリハリを感じながら読むことが出来ました! おじさんとぬい撮りという組み合わせも絶妙で、最高です!!
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『開幕!奴隷との生活!』作者:俗人ちん

 非常におもしろかったです! ギャグテイストのマンガとして読んだのですが、序盤からキャラクターたちが意外性を見せてくれていて緩急を楽しめました。

 一方で、一番メインで魅せたかったという女の子のギャップについては、意図したようには読めないのかなぁという印象です。冒頭から強いギャグの雰囲気があったので「なんでもアリ」感を読み取ってしまって、キャラクターの振る舞いに関してギャップというよりはボケに見えてしまうような感覚がありました。ところが、ネームアピールにない(おそらくは作者の意図しない)部分で魅力的なギャップを感じる瞬間がありました! 12ページからの流れなのですが、このあたりから「迷惑なハチャメチャキャラ」に見えていたヒロインに「不器用ながらも主人を気遣うしおらしさ」のような属性が付随してきているように思え、そこにギャップを感じました!

 冒頭の1コマ目なのですが、さすがに今のモノだと何が何だかわからなくて状況が呑み込めませんでした。すみません。3ページの二段目を見ると角があるので部屋のようですが、冒頭の部分では決闘場のような描き方をされていて舞台が変わったのか変わっていないのか上手く読み取るのが難しかったです。

 また、動きが良く分からなかった点として、7ページ右下のコマが間を表すコマなのか、移動を示すコマなのかが良く分からず、初見時には「元ご主人はどこに行ったんだろう」と違和感を持ってしまいました。

 それと、さすがに誤植や台詞抜けが多すぎるように思えます。

 全体としてみると非常に面白く、笑えるマンガになっていて楽しく読めました! ところどころで作者の意図とは別のものが出てきている部分があるように思えますが、楽しくするべきところは楽しく保てているので面白かったです!!

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『カラスノアトリエ』作者:藤原白白

 演出(アバン)から始まっていて非常に好感を持ちました。また、全体的に大ゴマや演出がふんだんに使われていて、相変わらず贅沢なマンガとして楽しみながら読ませていただきました。その反面、初めの3ページで小まめに場面展開があり、少し読みにくいというか、物語についていくのが大変に感じてしまいました。

 それも含めて読んでいて展開を急に感じてしまう部分があり、少し説明や台詞が足りていないのかなぁという印象を受けます。例えば3、4、5ページでは全体の中でも分かりにくさが強かったように思いました。

 白髪の子は登場シーンでおバカな造形が明確になっていましたが、一方でカラスの子はキャラを説明される前に馬鹿っぽい台詞を言っていて、受け止めるのに少し時間が必要でした。カラスの子は造形が格好いいのと「これだけおバカっぽいキャラが出てきた後にまた同じキャラが出てくるの?」という驚きがあって、「この子は本当にこのセリフを話していて良いのかな……」と受け止めきれませんでした。

 ギャップの示し方についてですが『ピンポーン…』に対してカラスの子のリアクションがないままで、すぐに次のコマが入り、読者の側が意外性を感じる余裕がないように思えました。設定レベルで見ると確かにギャップとして理解できそうなのですが、今回の描かれ方だとそれをギャップだと理解する前に行動が提示されてしまうので、意外性が薄れてしまったのかもしれません。また、冒頭や中盤で繰り返し探偵事務所について触れられているにもかかわらず、最後は結局投げっぱなしになっており、少し気になったまま物語が終わってしまったように感じました。

 細かく気になるところがあったのは事実なのですが、演出が多い点、決めるべきところでキチンと格好いい絵を入れられている点などによって何が起きているのか、何をしようとしているのかなどは読み取りやすかったです! 背景の勘所も分かっているように思えるので、是非、余裕があれば完成稿を読んでみたいです……!!

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『Vのから騒ぎ』作者:かれーとさうな

 めっちゃマンガになってて良かったです。端的に面白いし、キチンとギャップを魅力的に感じました。ギャップの見せ方としても溜めのコマを使った後に立ちきり大ゴマを使って気持ちよく提示してくれていて、読みやすいです。

 初見時にこの話の舞台が高校だと気づくことが出来ませんでした。タイトルが1ページの左上に入っていることで、まずそこに視線が行ってしまい、その後にそのまま右へ視線をずらすと『なあ、圭介――』という台詞が目に入るのでそのまま文字を読んでしまい、1コマ目を目に入れないまま読んでしまったからだと思います。加えて、圭介がめっちゃサラリーマンぽかったので「昼休みかなんかかな」と誤読してしまいました。

 ネームアピールを読むと2ページの取り扱いについて困っていたようですが、確かにいまのネームだと違和感を持つ部分がありました。2ページ最終コマだけ明らかに展開(めくり)の為に配置されたコマだと分かってしまったので、ここはやはり大ゴマへ向けた溜めという意味でも、圭介の受けのリアクションが必要な部分だったのではないでしょうか。もし、4ページしか書くことが出来ないという事情があるのであれば要素を落とすしかないようにも思えます。また、最終ページで「自分」と「僕」が混在している点については全く問題なく読めました。

 Vチューバーのビジュアルや規模感がとても良くて、ちょうどいい感じで面白いという、優れたバランス感覚を感じます。バロンでひっくり返した後にもう一度広斗でひっくり返してくれるなど、読者を楽しませてくれる態度もとても面白かったです!
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『銀雪に爛漫』作者:iyutani

 「ギャップ」を考えた際に葛藤へ焦点を当て、魅力的なキャラクターを提示してくる手つきに驚きがありながらも、確かに! という納得感があって楽しく驚きました。その上でシンプルにマンガとして読みやすく、キャラクターも魅力的だったので非常に面白かったです。

 唯一といっていいくらいの指摘ではあるのですが、冒頭2ページは1ページにまとめられるのではないかと感じました。現状だと1ページのモノローグに少し曖昧さが強く、このネームではあまりうまく機能していないように思えたからです。さらに冒頭モノローグの情報はiyutaniさんなら絵で伝えられる部分が多いのではないかという点、6ページコマなし部分の情報が冒頭と重複している点などを考慮しても、冒頭は少し整理して良いのではないかと感じました。

 あと、途中で出てくる友人の台詞が少し読みにくい印象を受けました。説明キャラである上に部分部分で「である調」に見えてしまう言い切り方をしているので、チグハグに読めてしまうように思います。

 また、これは個人の感覚による部分が大きいとは思うのですが、8ページの『お… 御曹司だ…!』に少し違和感を持ちました。というのも、この主人公は花活けを『はないけ』と思うくらい華道に疎い描かれ方をしていたのに、月岡流の規模や家元という言葉の大きさには疑問を持たないのが少し引っ掛かりました。(あと、部長の名前が千里になっているのは誤植ですかね……?)

 それと『華道部入るよ!』のような語り掛ける台詞で終わってしまうと、どうしても一段落ついた感じがせず、次のリアクションを欲しくなってしまいました。

 キャラクターを大事にしているのがとても良く伝わってきて、読んでいてそれだけで彼ら彼女らを好きになってしまうようなマンガでした。また、16ページとは思えないボリュームを感じるマンガで、とても濃厚で楽しかったです!

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『少年と人魚』作者:かずみ

 人魚の造形や性格がとても魅力的で、このネームだけでもふくらみを感じるような作りになっていると思いました! 4コママンガとしてとても面白く読ませてもらったのですが、2本で終わっていると流石にボリュームが足りないかなぁと感じてしまいます……。

 今回の課題となっていたキャラクターについても、この2本だけではどうにも判断が着かないように思えました。ネームアピールを読むと少年をギャップの主体として置いていたように感じたのですが、今のキャラクターデザインだと流石にモブ然としていてキャラクターとして立ち上がらせるのはかなり難しいのかなあと思いました。

 

 うーん……。何はともあれ、もっと続きを読んでみたいです!!

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『推しと暗殺者』作者:真田圭

 ストーリーや設定に驚きが多く、楽しく読むことが出来ました。スメラギのキャラクターも序盤で非常に分かりやすく明示してあることで受け止めやすく、キャラの立ち位置や態度に疑問を持つことがなかったのでストレスが少なかったです。

 全体を通して見ると、断ち切りのあるページとないページがハッキリしすぎていて、もう少しメリハリがあっても良いのかなぁと感じました! 大ゴマが3ページや10ページなどの重要な場面できちんと使われていて、とても気持ちが良いです。一方で7ページについては1ページ丸々使う情報ではないのかなぁという気がしました。

 イケメンがちゃんとイケメンとして描けていたり、決める場面で『恋人ごっこ楽しかったぞ』『推しと本当に付き合えてるみたいで』という倒置法を持ってきたり、締めるべきところをきちんと締められていたので、読者として物語やキャラに振り回されすぎずネームを読むことができました!

 冒頭に関してですが、『お呼びですか』の前にもう一つか二つ、場面説明のコマを入れた方がいいのかなぁという感じがします。というのも、冒頭において読者は何もわからない状況にあるので、丁寧に情報を与えられた方が安心して物語に入っていけると思ったからです。

 1ページから2ページの場面転換が分かりにくいなどもあるのですが、全体を見るときちんとマンガとして成立していて読めないところは全然ありませんでした。描こうとしている物語も、設定もシンプルに面白いのでまた次の作品も読みたいです~!!

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『はたらく女』作者:こぐまあや

 仕事とプライベートをテーマに、メインキャラクターの二人を対照的に示しながらもひねりのある展開があり、面白く読めました。主人公の行動原理も分かりやすく、迷うことなくストーリーを追って行けたように思えます。

 全体的にストレスなく読めてしまった反面、セリフ回しに小さな違和感を覚える場面が多かったかなと感じました。例えば冒頭の『毎日誰よりも遅くまで仕事してるの』という台詞ですが、小説なら違和感が小さいもののマンガで、それも人との会話のシーンとしては少し説明調に寄ってしまっているのかなぁという印象を受けます。他には12ページ下段の台詞にある『ただ』などは、何を受けての『ただ』なのか、分かりませんでした。

 場面転換のたびにその場の情報と位置関係を丁寧に提示してくれていたので立ち止まることなく展開についていけたのだと思います。一方で、9から10ページのところは場面転換ゴマがないまま時と場所が変わってしまっていたため、多少混乱してしまいました。

 5→6ページのめくりの作り方に少し疑問がありました。このめくりへの期待の持たせ方は師走さんの講義でやらない方が良いといわれていた形なのではないかと思います。

 人間の描き方が上手く、確かな質感を持った人物になっているのでいつも楽しみながら読ませてもらっています! 今回のネームにおいても小道具や仕草で人物のディティールが表されていて厚みを感じました。今までのモノと少し違ったテイストになっているせいか、少しまとめ切れていないところがあるとは感じましたが、こぐまさんがこれをどうまとめ直すのか非常に楽しみです! 完成稿もお待ちしています!!

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『かみさまのいる家』作者:kinositamarisa

 ドラマチックな展開でとても感動的に読めました。ストーリーとキャラクターの設定も上手くマッチしていて、それがより一層感動を引き立てていたように思います。

 基本的にすごくまとまりがあってマンガを描くのが上手いなぁと感じました。その一方で急に分かりにくくなったり、言葉の使い方に違和感のある場面が出てきたりして、読みながら時折立ち止まってしまう所も見受けられたように思います。

 言葉の方でいえば3ページと4ページで特に違和感がありました。1コマあたりの台詞量が少し多いのもあり、説明的に感じて台詞を読むのに疲れる感覚を持ってしまいました。

 マンガとしての分かりにくさを感じた部分については7、8ページの流れでしょうか。回想から現在に戻り、さらに場面転換があるという難しいシーンです。特に8ページからはテンポが上がって物語の転がり始める部分だったので、ここで振り落とされてしまうともったいないなぁと感じます。山菜取りから家に帰ってきた場面では特に演出がないまま、めくりで場面と時間が変わっていますが、ここは場転コマがあっても良いように思えました。

 こう言った意味で読むのが難しい場面もありましたが、それでも10ページから終わりにかけてのコマ割り、演出力は見事でした。ストーリーの盛り上がりに合わせて、こちらの心も動かされてしまうような感覚を持ちながら読み終えることが出来ました! エモさもあり、とても読み心地が良かったです!!

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『イタリアンレストランのおすもうさん』作者:ハミ山クリニカ

 ネームアピールにも書かれていましたが、マンガの中で第一印象を作るのではなく、ある種常識的に存在している第一印象を利用してギャップを描く選択がとても面白かったです。加えて、常識という前提がマンガに組み込まれているので、4ページというボリュームながらも「良いもの読んだな」感があり、驚きました!

 そしてすみません……。『そくバッキー』という言葉が分からず、最終ページについては意味がよく取れませんでした。一応、そのほかの情報から大体書いてあることは掴めたのですが、一瞬、言葉に躓いてしまったため本来読めたようには楽しめなかったかもしれません。

 今回チョイスした相撲取りの恋バナという題材や、相撲取りがイタリアンという場面設定がこの丸っこく可愛らしい線とすごくマッチしているように感じて高いレベルでのまとまりを感じました。

 iPhone11の画面で読んでいたのですが、描き文字が全体的に少し小さいのかなぁという印象を受けました。想定媒体がTwitterということだったので、もう少し大きいサイズでいれても良いように思えます!

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『テスト勉強』作者:kuzikuzira(シギハラ)

 短い中で女の子のギャップとリアクションが可愛らしく描かれていて、温かい気持ちで読むことが出来ました。特に3ページの『モチン』や4ページの『終末のラッパの音だ…。』が可愛らしいです。

 想定媒体がTwitterとのことで4ページ単位にまとめたのだと思いますが、ここで終わるにしては少し内容が薄味なのかなぁと感じました。もう少し細かくコマを割って、内容を増やすか、もうあと4ページ描いて物語として成り立たせても良いのではないかと思います。

 ヨシノちゃんのギャップの演出に関してですが、もしそこをさらに引き立てるのであればヌイちゃんの反応が少しもったいないのかなと思います。リアクションは読者に様々な情報を与えてくれるので、2ページの最終コマや4ページの最終コマは別のパターンも見てみたいと感じました。

 『単に癒されることを目的とし』たとのことでしたが、確かに女の子たちが可愛く、癒されるように思いました! とはいうものの、やはり4ページでこのコマ割りだとあっさり感はぬぐえないので、もう少し長い話で読みたいなぁと感じます!!
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『ブラックコーヒーを飲める先輩』作者:盛平

 後輩に対して格好つけたい主人公が妙に抜けていて可愛らしく、楽しみながら読みました! ビジュアル的な造形も相まって、3人が3人ともキャラクターチックに見えるのが面白く、『のめましゅ!』とOLとして明らかに何かがおかしくてもそれすらも愛おしく感じながら読めてしまいました……。

 マンガそのものと異なった指摘になってはしまうのですが、キャラクターの名前が一転二転していたり誤字脱字が多かったりと、人に見せるネームとしては少し乱雑なところが多いのかなぁと思います。時間の都合があったようですが、できればその手の見直しをする時間も含めて提出が出来ると良いのかなぁと感じました。

 さて、マンガの話に戻ります! 給湯室に入る場面など、途中での場面転換や説明はうまく出来ていたように思えたのですが、冒頭では自販機と主人公の情報しかなく、5W1Hに関する情報はもう少し見せてくれていても良いのかなぁと感じました。

 タイトル及び作者名、ノンブル(ページ番号)が抜けてしまっていますね。初回講義から言われていることですが、作品としてマンガを出すのであれば扉絵の位置やタイトルの入れ方は早い段階で考えていて良いのではないでしょうか。

 キャラクターの機転の描き方やリアクションの取り方がとても可愛らしく、設定そのものに加えて線や手つきの楽しさからもキャラクターを感じるネームでした。また、内容についても特に違和感や飛躍を感じることが無かったのできちんとお話として読むことが出来たと思います。完成稿にした際にこの線の雰囲気をどこまで残せるのかが気になるところですが、とても楽しい線をしているので是非、完成稿を読んでみたいです!

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『スワン・ポンド』作者:motoko

 細かく驚きポイントが用意されていて、読者を退屈させずにページをめくらせてやろうという意欲を感じました。驚かせる手つきに関しても飽きが来ないようにコマ割りやめくりへ意識を配っているのが良く分かる、丁寧なマンガだと思いました。

 演出として13,14ページを大胆に使っている関係上、多少全体的に文字量が多くなっているのかなぁという印象です。一方で文字ストレスのかかる時には、出来る限り文字を読むための動機づけをしてくれていたので、場面によっては文字の多さも気にならず読むことが出来ました。

 また、2ページにこれだけ印象的な絵が入っているので、どうにもここを冒頭(アバン)に持ってこれないかなぁと考えてしまいます。アナ雪の話などは本編の大きなストーリーにはあまり関わってこないので、このあたりを整理して、より目を引く1ページを見てみたいと感じました。

 『お姉さん』と呼ばれた上で学校案内から始まっていたので、お姉さんが二年前に修学旅行の学年だったという設定には結構違和感がありました。普通、修学旅行は二年次にあると思うのですが、そうだとするとこのお姉さんが高校を卒業してからは半年ほどしか経っていないのではないでしょうか……?

 設定以外には特に大きな違和感がなく読めたし、何よりそれまでの会話劇から一転して無音になる13,14ページの演出が非常に刺激的で楽しかったです! それだけにペン入れした際にこのページがどう見えるのかは気になるところですね……。

 是非、お待ちしています!!
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『私のクラスメイト』作者:なないつ

 ギャップのある魅力的なキャラクターを、と言われた際にポジティブな方面でなく、ネガティブな方面で攻めて来ていて驚きがありました。また、扱っているネタもyoutuberなど身近なものを選んでいて関心を持ちやすいマンガであるように感じます。

 ルカがyoutuberであることはもう少し早く知らせても良いのかなぁと思いました。主人公はインターネットに興味を持っていないという設定が描かれていましたが、新聞部に所属している点や意識の高い先輩がいる点、加えてルカの人気度がべらぼうであることなどを考えると、さすがに噂さえ聞いたことが無いというのには違和感を持ってしまいます。

 プロットレベルで大胆な展開が続くためか、語られているシーンがどの時系列にあるのかなかなか掴みかねるところがありました。特に8ページの『ルカは二度燃えた』以降は場面と時系列を追うのが少し難しかったです。また、そのせいもあるのかもしれませんが、最終ページのオチとなるべき部分がどういう意味なのか上手く読み取ることが出来ませんでした……。

 パッとしない主人公を描くにあたって、意識の高い先輩や有名youtuberを配置するのはとても明暗がはっきりしていてキャラクターを理解しやすかったです! 少し整理されていない部分があるとは思いますが、基本的なコマ割りは非常に読みやすいですし、その中で演出のコマも使えていたので、整え直したものが見られるとすればとっても楽しみです~!!

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『親友のヤバイ旦那』作者:のり漫

 旦那さんがモデルということですが、静かな狂気を感じるキャラクターに仕上がっていて非常に楽しく読み終えました。他の内容に関しても料理道具のマメ知識的な小ネタが撒き餌のように散りばめられていて、そういった意味でも飽きることなく最後までマンガを読むことが出来るように感じます。

 中身そのものとは異なってしまいますが、ネームアピールに書かれていた『また、前回の講義で「冒頭の1ページ目で――』という段落が気になりました。師走さんはアバンの説明でモノローグについて触れていたと思いますが、どうものり漫さんがネームアピールで書いてあることとは違ったことを言っていたように覚えています……。

 さて、マンガそのものについてですが、特に気になった点はなくスムーズにページをめくれたと思います。少し引っ掛かったのはキッチンへ場面が移った後、みきおさんと主人公との位置関係を教えるコマが無かったことでしょうか。今のままでも理解が止まるということはありませんが、途中、テンポに変化をつけるという意味でも位置情報を教えるコマがあっても良いのかなぁと感じます。

 これまでの提出作品とは違ったテイストですが、聞いてもいないのにお料理情報を話し出すみきおさんや、始めの内はスルーしながらもついつい質問をしてしまう主人公の雰囲気がそれっぽくて非常に面白かったです! そしてお腹がすきました。

 エッセイマンガ的なコマ割りを意図的に排除したのだと思いますが、特に違和感なく読めています! 今回のお話は背景や小道具をどこまで描き込むのか難しい部分もあると思いますので、是非、ペン入れをしてみてほしいなぁと感じました……!

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『ときめきお嬢様』作者:つまようじ

 普通に面白かったです! ネームアピールに書いてあった理由からか、最後の締め方は少し強引なようにも感じますが、それまでにキャラクターがちゃんとおバカなことをおバカにこなしてくれるので安心して笑うことが出来ました。

 『「伝える漫画」』にすることが今までの課題であった、ということですが今回のネームで描かれている情報に関しては「どうしてこうなったの?」と感じることなく自然に受け止められたと思います。

 とはいうものの、多少おかしくなってしまっている部分もあるのかなぁとは感じました。一番気になったのは、冒頭と4ページとでモノローグの話者が変わってしまっている点でしょうか。このネームだと執事はやって来たばかりということのようですので、どちらかというと冒頭の『ウチのお嬢様は――』の視点を変えることになるのではないかと思います。

 褒められた部分として顔芸を入れていることもそうですが、途中途中で入るデフォルメの聞いた表情もとても可愛らしく、見ていて楽しかったです。

 提出期限に合わせて急遽、構成を変えたということでしたが、元の作りではどうなっていたのか非常に気になります。今のままでもギャップそのものは感じますが、もう少しページを使えると第一印象を丁寧に描けるばかりでなく、その後の落差もより大きく描けるのではないかと感じます。さらにこの設定なら冒頭(アバン)を作ることも出来ると思いますし、着実にレベルアップしていることもあり、完成稿を見てみたいなぁと思いました!!

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鳳凰寺セツコの胸元』作者:畑こんにゃく

 強い絵に結び付く斬新なアイデアで、読んで楽しい目も楽しいと二度おいしいネームでした。加えて男の子が瞬く間に順応し、そればかりか胸の文字で遊ぼうとしているところでさえ妙な説得力があって楽しく読みました!

 冒頭の『営業:山本一也』というが少し肩書が少し読みにくいかなぁという印象です。2ページのように大ゴマで演出を使いながら出てくるのであれば迷わないのですが、1ページのように出されると2コマ目がモブで3コマ目に『山本一也』という主要キャラが出てきたのかと、一瞬、考えてしまいました。できれば一番初めの台詞と一緒に肩書が提示されていると、混乱が無いのかもしれません。

 5ページ1コマ目の表情が中々にクズっぽくて良いですね! それに関して4ページでの鳳凰寺さんの動きが少し読み取りにくい部分がありました。『疑』という字が胸元に浮かんでいますが、この時の鳳凰寺さんは胸元を見られている(セクハラ的な意味で)と疑ったのか、文字が見えているのかもしれないと疑ったのかどちらなのかなぁと……。

 あと、1ページでキャラクターの位置関係を教えてくれている分、少し読むのに戸惑う部分がありました。山本が立ったり座ったりしていますが、その時の位置や動きに関してところどころ辻褄が合わなくなっていたように感じます。

 オチも意外性がある上に、それまでの設定に対する想像をふくまらせるようなものになっていてとても良かったです! 鳳凰寺さんのはっちゃけ具合も可愛らしくて素敵でしたし、とても楽しませていただきました!!

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『癒しをください!』作者:片橋真名

 分かりやすくメリハリの利いた展開と設定で、すんなりと受け止めながら読み進めました。コマの割り方も退屈せず、適宜めくりへの欲望も用意されているので自然とページをめくりながら読むことが出来ました。

 場面転換を行う際に場所の移動としては違和感がなかったのですが、時間経過に関しては少し混乱することが多かったです。具体的には会社から猫カフェに移ったのはその日なのか、二日後なのか、一か月後なのか。猫カフェから会社に移った時には日付が変わっているのか、いないのかも分かりませんでした。特に11ページの場面転換は間白の太さでも、場面転換ゴマでもなく、モノローグのみで行われているので時間経過的には短く感じていて、その後の『行く行く! そういえば最近行けてなかったし』の台詞で戸惑う感覚を持ってしまいました。

 また、猫カフェのシーン冒頭の『おっ 男がいる』という台詞が気になります。ぼくはあまりそういった場にはいかないのですが、読者の前提として共有できるくらい猫カフェには女性客が多いのでしょうか……?

 『がっつりblというよりブロマンス?な関係好き』ということでしたが、BL文法的な演技が上手く使われている印象がありました。9ページや12ページ、16ページなどはこの文法が分かる人が読むとそれだけでキャラクターの奥行きを感じてしまうものなので、キャラクターを見せようとした際にうまく使えているのは流石です!school.genron.co.jp

『もやさないゴミ』作者:くたくた

 冒頭が演出から入っていてとても好印象を持ちました。また、総合的なキャラクターの書き分けという点からは、気持ち悪い奴を気持ち悪く、変な奴を変に、平面的でありながらも深さを持つ奴はそのように描けていたので作者の意図通りに読ませてもらえた感覚があります

 時折、絵のレベルの話で何を描いてるのか分からないなぁと感じるコマがありました。例えば2ページの1コマ目や、5ページの1コマ目などです。前者についてはカメラを引くか、自動ドアにそれとわかる書き込みがあれば良いのかなぁと思いました。後者に関してはここで目を書かれているキャラクターが誰なのかパッと読み取ることが出来ず、それも相まって、何を描いてるコマなのか分かりにくくなっているのではないかと感じました。

 外からコンビニを覗いているシーンについては、分かるんだけど分からないという感覚を持ってしまいました。うまく言葉にできず申し訳ないのですが、「いや、こうはならないと思うんだけど、ストーリーと作者の意図的には分かるから、読めるといえば読めるんだが……。」といった感じです。

 大筋のストーリーを迷わず読ませながら、要所要所でピリッと来る話を挟み込んでくるため刺激的に読み進めることが出来ました! 髪型などで書き分けは出来ているのですが、目元に関してだけだと少しキャラごとの見分けが付きにくいので、ペン入れした際には目で演技させるコマをどうするのかが気になりました!!

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『ゆるームメイト』作者:柴田舞美

 面白かったです! まずゆるキャラがそのままゆるキャラであることに驚きがあったし、この二人が楽しく生活をしている様子が伝わってきて、上手くマンガに乗りながら読むことが出来ました。多少文字量が多く、読むのに時間がかかってしまってコマ割りで流れる時間と文字を読む時間に祖語のある部分もあるのですが、基本的にはストレスというほどでもなくさわやかに読めました。

 読めてしまったのとゆるキャラという設定があって、あまり指摘しようと思う所もないのですが、6ページ下段の大ゴマを使う前には溜めのコマがあった方が気持ち良いのではないかと感じました。中段ゴマの頑張っているシーンか下段のシーンまでの間には、ゆるキャラにとって何か心情の変化があるはずだと思うので(そして読者としてそこを見せてほしいと思ったので)、それを示すコマが入っていればいいなぁと思いました。

 あと、これは誤読というかやってもらえればというレベルの話なのですが、冒頭の『俺が微妙に キモかわいいと 思っているのは ぼるぼっくすだが…』のぼるぼっくすは鍵付きにしてもらえると、ボルボックスの話ではなく、ゆるキャラの「ぼるぼっくす」の話をしているんだなぁと分かったような気がしました。

 細かい話ですが、句読点のルールが統一されていないようなので、完成稿に行く際には注意した方が良いように思えます。形式の話でもう一点あり、6ページの描き文字『ガブリ』などを見るとノドの意識がぬけているように見えました。雑誌に載せる際にはせっかく書いていても読めなくなってしまう場合があるので気を付けた方が良いのかなぁと感じました!

 正直この線でも十分完成されて見えるので、ペン入れするとどういう印象になるのかが気になります。ゆるキャラとそのイメージをギミック的に扱っているので、線の印象が大切になるのかなぁと感じました! 読んでみたい……!!

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『メガネ』作者:内存ナコト

 女の子が可愛い! めちゃかわいい! 良い! という所から始めたかったのですが、どうやらサイトにアップされたものは本来のページ順と異なっている(後ろ前逆になっている)ようなので、ひとまず本来の順番だと思われる順で読んだときのコメントを書かせてもらいます!!

 元気っ娘のように登場した佐藤さんが、最後には照れながら帰っていくのは素直に可愛くて、可愛かったです。本来の2ページ右下コマなど、目が悪いというのを説明するのにも文字で書くのではなく、ストーリーと演出で描いていてストレスなく設定を読み取ることが出来ました。

 佐藤さんが非常に可愛いのですが、本来の3,4ページの流れはもう少し時間をかけて演出のあるものとして読みたいなぁと感じました! 今回のモノは佐藤さんの照れ顔を読むマンガだと思うのですが、現状だと本来の3ページで照れてしまうのが唐突に感じる部分もあり、よりかわいく描くことが出来るんじゃないかなぁという感覚を持ちました。

 絵がマジで本当に可愛いので、本来の4ページ上段に持ってきた絵を冒頭(アバン)で使えないかなぁという印象を受けます。ネームアピールが無いので、なぜ4ページになったのかは分からないのですが、この設定でこれくらい絵が描けるのであればもう少しボリュームを持たせてもいいのではないかと感じました。っていうか、もっと読みたいです! このマンガ! お待ちしてます!!

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『名を与える』作者:田山

 可愛い女の子が1ページに来ているので、「おっ、読んでみるかな」とページをめくりました。題材にしているのが連想ゲームなのでそうならざるを得ない部分でもあるのですが、冒頭が演出で始まり、中盤で文字のやり取りを行って時間が圧縮された後、ストーリーの盛り上がりに合わせて9ページから大ゴマによってストレスが解放されるのは本当に本当に気持ち良くて、楽しめました。

 今回の課題はキャラクターにあったわけですが、この冒頭と導入があるためにぼくはどうしても「雰囲気を読むマンガ(キャラクターに主眼を置かないマンガ)」として読んでしまう部分があって、キャラクターに焦点があるか? と聞かれてしまうと難しい部分があるのかなぁと感じました。マンガの出来とは別の次元で、キャラが魅力的かどうかと聞かれた時、可愛いけど特別魅力的かといえば難しいかも……といった印象になってしまいました。

 今のネームでは一重線で描かれた吹き出しと、二重線で描かれた吹き出しがありますが、これはこういう書き分けをしているのでしょうか? そうだとするとあまりその書き分けの意図は分からないなぁと感じてしまいました。

 終盤大事なシーンとして11ページがあると思うのですが、上段ゴマに描かれた自分を指している指がどうにも見落とされてしまう場合があるようで、『「倉敷紗希」』がどっちで『「白野美羽」』がどっちなのか分からないこともあるようです(これはほかの方から聞いたことを元に原因を考えました)。

 絵のタッチと線で雰囲気を作ることが出来る方なので、冒頭に演出があるとやはりそれだけで「読んでみるか」という気にさせられてしまいました。先ほども触れましたが今回のネームは最後の大ゴマによる開放感がすさまじく、気持ちよく読み終えることが出来たため良いものを読んだ感がすごくあって良い体験でした!

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『いちゃつくふたり』作者:桃井桃子

 百合ですねぇ……! 冒頭が大ゴマ二つの絵で魅せる作り方になっていて良かったです(想定媒体である百合アンソロの場合この魅せ方が効果的かどうか、ぼくには分からないのでこの観点は一般マンガ雑誌掲載時を想定しています)。百合文法の使い方もやはりたくみで、1コマ目の立ち位置、立ち方、アイドルという設定から「ああ、これはそういうやつね」と分かるようになっているのもストレスフリーな読書を促しているなぁと思いました。

 4ページ左上のコマがキスをしているのか、匂いを嗅いでいるのか分からないかなぁとは思ったのですが、それ以外の部分では特に手が止まることも視線誘導で躓くこともなく心地よく読めました。強いて言えば、二人がいちゃついているシーンをもう少し読者サービス的に見せてくれていても良いのかなぁという気持ちはあったかもしれません。

 百合に明るくなく、掲載媒体や描き方を含めて読者としてどう感じたかという部分をあまりかけずに申し訳ありません。ギャップのあるキャラクターという観点では多少弱いような印象も受けるのですが、ここに関しては百合アンソロの中で流行や慣れ、読み方のような部分があると思うのでそちらとの兼ね合いはどうなのでしょうか……?

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『オタクが友達になるのは難しい』作者:うめていな

 可愛い女の子と綺麗で格好良い女の子とを対比しながら描くことで、二人の違いが明確に描けていると思います。図像のレベルで対比がうまく出来ているので、少ない情報量でもこちらに伝わって来るものが多かったように感じました。

 マンガの内容の前に、タイトルと署名が入っていないことが気になりました。ネームアピールの文量から、時間が無かったのかもしれないと察しは付いたのですが、第二回講義でも言われていた『タイトル位置はネームの初期段階で考える事だ』という話を前提に置くと無視できないことなのかなぁと感じました。

 さて、展開の祖語として一番気になったのは1ページの『気になる人がいる』という台詞が物語を駆動していくにもかかわらず、このセリフの真意が曖昧なままネームが終わってしまう点でした。『気になる』というのが恋愛感情なのか知的好奇心なのか、憧れなのか、読んでいてはっきりしない印象を持ったまま読み終えてしまいました。

 可愛い系統の女の子と綺麗格好いい系統の女の子が絵のレベルで書き分けされているうえに、きちんと「可愛さ」と「綺麗格好良さ」が伝わってきてとても良かったです! このネームの場合だと物語と図像が強くかみ合わなければいけないところなので、そこに食い違いが無かったためにこの意味で違和感を持つことはありませんでした。魅力的な設定なので、もう少し分量を増やして整理されたものを是非、読みたいです!!

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『UberGirls』作者:高井焼肉

 綺麗な女性が大ゴマで使われていて、非常に目を引く1ページでした。その上でめくりに大きな意外性があり、導入という意味でとても的確に乗せられたまま読み切ってしまいました。4ページでまとめるために最終ページで急に時間が遅くなりますが、それまでに十分気持ち良くさせてもらっているので、読み切れるのではないかと思います。

 絵が上手く、起きている内容が分からないことは少なかったのですが、3ページの4,5コマ目で起きていることはいまいち上手く把握することが出来ませんでした。とにかく格好いい雰囲気は感じたのですが、3コマ目ですでに自転車が車を追い抜いていたので、4コマ目がどう危ないのか分からなくなってしまったのではないかと思います。

 内容と離れた部分でいえば、タイトルと署名およびノンブルの無かったことが気になりました。

 絵も上手く、4ページでこの設定を描き切るための大胆さもちょうどよかったので非常にストレスなく読めました! この設定ならシリーズものにも出来ると思うので、是非、続きのマンガを読んでみたいです……!!

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『fifteen』作者:横たくみ

 すっきりとしたコマ割りを基本としながらも、適宜演出が入るために退屈することなく読むことが出来てとても楽しかったです。写植に関しても細かく折り返していて、パッと文字を読もうと思える量にコントロールされていて吹き出しの多いページでもスムーズに読めました。

 冒頭についてなのですが、アバン的な視点で見るとこの1ページは少し弱いのかなぁと感じてしまいました。というのも、3ページの絵がめちゃくちゃ良いのでここを使えないモノか、と考えてしまったからです。

 基本的に面白く、ストレスなく読めたのであまり書くことがありません……。ギャップという点でも、思春期の少年として意外性があるかどうかなどで考えるところはあるのかもしれませんが、十分魅力的に映るのでそういった意味では問題ないのではないかと感じました。

 舞台が離島なのでどれほどペン入れをするのかなぁというのが気になります。ネームアピールにもあるように、キャラクターを実写に寄せて描いているとのことだったので背景をどのレベルでいれるのかというのも調整が必要なのかもしれません。

 この話、とても好きだったので是非ペン入れしたものを読みたいです!

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おわりに

 今年最後の講義に向けた提出でしたが、とても刺激的に読ませていただきました。

 初回講義から出し続けている方もかなり多く、そういった意味でも今回の提出作は楽しく読むことが出来たと思います。ひらマンの講義は毎回ボリュームが異常なこともあり、作品を作りながら振り返るのはまた一苦労なのではないでしょうか。タイミング的にはここで一息つけると思うので、是非復習したいところです。

 慎本真さんの講義はキャラクターが主眼とのこと。今までの講義と比べ、かなりピンポイントな雰囲気のある課題文でしたが、果たしてどのような講義になるのでしょうか。ぼくとしても今回は『ギャップのあるキャラクターを』とのことでしたが、コメントを書いてみてその大元にある『魅力的なキャラクター』というのを深く考えさせられる経験になりました。

 慎本真さんの講義後にはさやわかさんによる「ひらめきパート」もあるので、年末に向けて刺激の多い週末になりそうです! 年末に差しかかり、様々なことがあるとは思いますが、前半戦はもうひと踏ん張りです。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう~。