とらじろうの箱。

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【放談】マツタケと書いて、サブカルと読む【NO.1】

 ぼくはいま、一食当たり784キロカロリーを有する「カップ麺」なるものを食べている。そして茶色いソレをすすりながら、マツタケに思いを馳せているのだ。そういえばマツタケも傘の部分は茶色い。

 皆さんはマツタケを食べたことがあるだろうか?

 『匂い松茸味しめじ』という言葉があるが、このマツタケである。ちなみにこの場合のしめじとは『ホンシメジ』のことだ。この世に生を受け、それなりの年数を生きてきたわけだが、残念ながらぼくは未だにマツタケを食べたことが無い。折しも「食欲の秋」と言われる11月にこの記事を書いているわけであり、スーパーに行けばマツタケなる商品は店頭に並んでいるが、ぼくは決してそれを買うことはない。

 なぜなら、高いからだ。困ったものである。ぼくはマツタケを食べたいのに、マツタケはぼくに買ってもらう気がない。この世の不条理だ。

 なぜこんなにもマツタケは高いのか。

 実は、きちんと理由がある。2020年7月には「レッドリスト」にマツタケ絶滅危惧種として指定されたというニュースもあったが、それに伴いTVではにわかにマツタケ雑学があふれていたのを覚えている。

「レッドリスト」マツタケ絶滅危惧種に指定|日テレNEWS24

 その中で知った人もいるかもしれないが、かつての日本においてマツタケはシイタケより身近な食べ物であった。きのこといえば毒きのこであるが、マツタケはその誉れ高い香りの為に比較的容易に同定が可能であり、食用キノコとして重宝されていた歴史がある。また、かつてはその生産量も豊富で、1965年には一キロ当たり1591円で取引されていた。同じ時期、乾シイタケの取引価格は2056円である。今と金銭価値が異なることを考慮しなくてはならないが、それでも十分に安かったということは感じていただけるのではないだろうか。

 それが2019年ともなると、マツタケは一キロ当たり58553円で取引されているのである。ちなみに、乾シイタケは1958円だ。悲憤慷慨はなはだしい。

 誰がぼくからマツタケを遠ざけるのか。

 マツタケやホンシメジは「菌根菌」と呼ばれるようなきのこであり、人工栽培が難しいと言われている。そのために自然産出量によって価格が大きく左右されるのだが、絶滅危惧種に指定されようという昨今、マツタケの市場価格が高いのは仕方がないと言えるのだろう。加えて、マツタケというのは自然界の競争にめっぽう弱く、豊かな土壌を用意されて『よーいドン!』になると他の菌類や植物に負けてしまう。つまり、ある程度貧困な土壌や環境になければ生き残れないのだ。

 そこでぼくはマツタケと書いてサブカルと読むことを提案したい。

 サブカルとは、ご存知サブカルチャーのことだ。

 ぼくは今、サブスクと呼ばれる定額課金サービスでアニメや映画、音楽なるものを消費している。通り一遍のそれらに触れながら、『サブカル』を求めているのだ。

 『80年代サブカルチャーブーム』という言葉があるが、このサブカルチャーである。2020年にもなり、それなりの年数を生きてきたわけだが、残念ながらぼくは未だにサブカルを感じたことが無い。クールジャパンと書くと少し過去の響きがあるが、日本の誇るポップカルチャーは現在、海外に輸出できるだけの商品としてそれなりの価値を持っているのだろう。だが、ぼくは決してその中にサブカルを感じていない。なぜなら、政府の援助を受けているカルチャーがサブなわけがないからだ。ぼくはサブカルに触れたいのに、サブカルはぼくに触れてもらう気がない。いや、むしろ、サブカルなんてものは存在しない気さえする。

 そいう言う意味ではレッドリストに載ったとはいえ、所詮は絶滅”危惧種”ごときのマツタケサブカルと同化させようというのは、ぼくの愚かさがにじみ出ているとも言えるだろう。

 サブカルはマイノリティー文化の流れにあるとも考えられており、人工的に意図して作り上げられるようなものではないのかもしれない。しかし、文化を持つ人間なる生物が一人でない限りは、メジャーとマイノリティーの区別は確実に存在し、サブカルの生まれる土壌は常に育まれているはずだ。この点では、マツタケよりサブカルの方に希望が見出されるだろう。マツタケはその匂いの為に人々に発見され、それが報告されるばかりか、食され、報告されることによってその存在を常に感じることが出来る。

 サブカルの匂いとは何だろうか。

 サブカルの匂いをかぎ分け、食し、それを報告することのできる人間が今の世界に残されているのだろうか。

 ぼくはマツタケと書いてサブカルと読むことを提案する。

 マツタケのように、サブカルチャーの匂いを感じ取り、味わい、それを世に広められたら良いと考えている。

 

 ここはぼくが管理するブログ記事だ。そしてタイトルには【放談】という文字が躍っているはずである。書きたいことを書いておとがめなしだ。

 この記事は、実のところ、ひらマン4期の第3回講義のまとめ記事を書こうとしたが中々に厄介であったために現実逃避として執筆された。冒頭部分について嘘はないが、裏事情は今記したとおりである。ちなみに、第3回講義の講師は師走の翁さんで、なんと、来る11月18日に新刊『Please! Freeze! Please!』が発売されるという。

 DVD付きをお勧めしたいが、残念ながらAmazonでは在庫切れとのことで通常版のリンクを貼ってくことで留飲を下げよう。